子どもの発達を支える毎日は、うれしいことも多いけれど、同じくらい大変なこともありますね。
「子どものために」と頑張るあまり、気がつくと肩がこる、腰が痛い、眠っても疲れが抜けない…。
そんな“関わり疲れ”は、誰にでも起こる自然なことです。
でも、実は親の身体と心に“余裕”があることこそ、子どもの発達を支える一番の力になります。
この記事では、理学療法士の視点から、科学的に効果が確かめられているセルフケアを、「忙しい方でもできる」形でご紹介します。
1. 「関わり疲れ」は身体にも表れる
子どもと過ごす時間は、思っている以上に“体を使う時間”です。
抱っこやお着替え、床での遊び、目線を合わせる姿勢…。
これらの積み重ねが、じわじわと体の一部に負担をかけていきます。
特に疲れがたまりやすいのは次の3か所です:
- 首・肩まわり:抱っこや前かがみ姿勢による緊張
- 腰:中腰や床座姿勢による負担
- 腕・手:抱き上げや支えの繰り返し
こうした姿勢が続くと、筋肉が硬くなり、血流が悪くなって「疲れが抜けにくい」状態に。
呼吸も浅くなり、自律神経(体を整える神経)のバランスも乱れやすくなります。
2. 科学的に効果がある3つのセルフケア
(1)呼吸と姿勢を整える「胸を開くストレッチ」
人は疲れると、自然と背中が丸くなり、呼吸が浅くなります。
すると、体に酸素が入りにくくなり、疲労感が抜けにくくなるのです。
胸を開いて呼吸を整えると、体をリラックスさせる副交感神経が働きやすくなります。
※呼吸運動がストレスホルモンを減らすことが研究で確認されています¹⁾。
やり方:
- 椅子に座って背筋を伸ばす
- 両手を後ろで組んで、胸を少し開く
- 鼻から3秒吸い、口から5秒ゆっくり吐く
- 3〜5呼吸を1セットとして、1日2〜3回

ポイントは「肩をすくめない」こと。
胸のあたりが少し温まる感覚があればOKです。
(2)「ながら運動」で疲れをためない
「運動する時間がない…」という方におすすめなのが“ながら運動”。
ほんの数十秒でも、体を少し動かすだけで血流が良くなり、疲労がたまりにくくなる²⁾ことが、
WHOのガイドラインでも紹介されています。
家の中でできる簡単な“ながら”運動:
- 歯磨き中 → かかとの上げ下げを10回(ふくらはぎの血流アップ)
- 食器洗い後 → 背伸び+前屈を3回(腰と背中をリセット)
- 子どもと遊ぶ前 → 肩回しを5回(肩甲骨の動きを保つ)
コツは「1回10秒でもいい」と思うこと。
体を“止めない”ことが、疲れを防ぐ一番の秘訣です。
(3)「ほぐす」より「動かす」
疲れたときは「マッサージしたい」と思いますよね。
でも実は、軽く“動かす”ほうが筋肉の回復には効果的なんです。
動かすことで血の巡りがよくなり、筋肉に酸素と栄養が届きやすくなります。
おすすめの動き:
- 肩甲骨まわし:両肘を曲げて、背中で円を描くように回す(前後5回ずつ)
- 骨盤ゆらし:椅子に座って、骨盤を前後にゆっくり傾ける(10回)
- 足首まわし+つま先立ち:足の血流を改善(各3回+5回)
テレビを見ながらでもできる簡単ケアです。
3. 睡眠のケア──“短時間の休息”が疲労を防ぐ
睡眠は、体と心を回復させるための“再起動時間”。
「ぐっすり眠る」ことが何よりのセルフケアです。
☀️ 5〜20分の「昼寝(パワーナップ)」
NASA(米航空宇宙局)の研究でも、20分ほどの短い昼寝で注意力・集中力が向上し、疲労が軽減することが確認されています³⁾。
ただし、30分以上寝ると深い眠りに入ってしまい、起きたときにだるさが残ることがあります。
パワーナップのコツ:
- 昼食後1〜3時間以内にとる
- 静かで落ち着ける環境をつくる
- 10〜20分でタイマーをセット
- 寝る前に少しカフェインをとっておくと、目覚めスッキリ(“カフェインナップ”)
10分でも「頭が軽くなる」「気分が落ち着く」と感じられるはずです。
🌙 夜のストレッチで「深い眠り」へ
夜は体が「頑張るモード」から「休むモード」に切り替わる時間。
寝る前にゆっくりしたストレッチを行うことで、副交感神経が働きやすくなり、眠りの質が上がります⁴⁾。
寝る前5分ストレッチ:
- 仰向けで膝を抱える → 背中と腰の緊張をゆるめる
- 壁脚のポーズ → 脚を壁に預けて90度に、5分休む(むくみ軽減)
- バンザイ深呼吸 → 両腕を頭の上に伸ばしながら深く呼吸

“ゆっくり”“気持ちよく”“呼吸を止めない”がポイントです。
4. 1日の中に“3分リセット”を
「まとまった時間は取れないけど、少しなら…」というときこそ、
1日の中に“3分ケア”を散りばめてみましょう。
| タイミング | 内容 | 効果 | 
|---|---|---|
| 朝 | 胸を開くストレッチ×3呼吸 | 呼吸が深くなり体が目覚める | 
| 昼 | パワーナップ10分 | 集中力・疲労回復 | 
| 夕方 | 肩回し5回 | 肩こり予防 | 
| 夜 | 壁脚ストレッチ+深呼吸 | 睡眠の質アップ | 
1日を通して「自分を整える時間」を少しずつ入れると、体の疲れがたまりにくくなります。
5. セルフケアは“自分をいたわる時間”
セルフケアは“努力”ではなく、“やさしさ”です。
「今日もよくやったね」と、体に声をかけるような気持ちでできれば十分。
ほんの1分、深呼吸するだけでも、
その“静かな余白”が、明日の笑顔を守ってくれます。
まとめ
- 「関わり疲れ」は、体のサイン
- 科学的に効果があるケアは「呼吸」「動き」「短い休息」
- 小さな“3分ケア”の積み重ねが、親の余裕を育てる
すこっぴーラボでは、理学療法士の視点をもとに、子どもの発達や成長、そして親の心身の健康に関する情報を発信しています。
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