子どもの発達支援における「目標設定」──メリット・必要性と実践方法

発達

「うちの子、できることがなかなか増えない」「何から支援すればいいか分からない」
こんな悩みをもつ親御さんや支援者の方は多いのではないでしょうか。

発達が気になる子どもをサポートする上で、とても大切なのが「目標設定」です


たとえば、「縄跳びを10回跳べるようにする」など、具体的な目標を決めることで、子どもも大人も“がんばる方向”や“成長の実感”が見えやすくなります。

この記事では、目標設定の科学的メリットと実際の進め方、発達支援におけるポイントを詳しく解説します。


■なぜ「目標設定」が必要なのか?──科学的・発達的な意義

●目標設定の科学的根拠

  • 目標があると、行動が明確になり、動機づけ(モチベーション)が高まる
     心理学や教育学の分野では「目標設定理論(Goal Setting Theory)」が広く知られています。明確な目標を持つことで、努力の方向性が定まり、達成しやすくなることが多くの研究で実証されています。
  • “できた!”という成功体験が自信につながる
     小さな目標でも達成感を積み重ねることで、自己効力感(=自分にはできるという感覚)が育ちます。

●発達支援の現場での効果

  • 目標を設定することで、「何に取り組むか」「どこまでできたらOKか」が明確になり、支援の計画が立てやすくなります
  • 子どもの“できる”を見逃さず、「前より伸びた!」という変化を見つけやすくなる。
  • 家族や支援者間で情報共有や協力もしやすくなります。

■目標設定のメリット

  1. 具体的な行動に落とし込める
     例:「体力をつける」よりも「縄跳びを10回跳べる」「5分間走り続ける」など数字や時間で具体化すると取り組みやすい。
  2. モチベーションと“やる気”が維持できる
     「何をがんばるのか」「何のためにがんばるのか」がはっきりすると、子どもも前向きになりやすい。
  3. できたときに“達成感”や“自信”を実感しやすい
     小さな目標でも、できた!を実感できると「もっとやってみよう」と思える力が生まれる。
  4. 親や支援者も“サポートの方向性”が明確になる
     目標がはっきりしていれば、どんな声かけや手助けをすればよいか、計画的に支援できる。
  5. 振り返りや次の目標へのステップアップがしやすい
     一度目標を達成すれば、次はどんなことに挑戦するかを考えやすくなる。

■目標設定のポイントと進め方

1. 子ども本人の“やってみたい”“できるようになりたい”気持ちを大切に

  • 子どもの興味や好きなこと、困りごとから目標を見つける
  • 本人の「やりたい」「できるようになりたい」という気持ちを尊重する

2. 発達段階や個性に合った「ちょうどいい」目標を選ぶ

  • 高すぎる目標は挫折や自信喪失につながりやすい
  • 今の子どもの「少し頑張れば届きそう」なレベルを見極める
  • 例えば、全く跳べない子には「まずは1回跳ぶ」から、「3回連続で跳ぶ」「10回跳ぶ」とステップアップ

3. できるだけ「具体的」に設定する

  • 「がんばる」や「上手になる」などの抽象的な表現よりも、「○回できる」「○分続ける」「○日間毎日続ける」など数字で示す
  • 例:「縄跳びを連続10回跳ぶ」「鉄棒で前回りができる」「1週間毎朝5分ストレッチをする」など

4. 期間や評価の基準も決める

  • 「今月中に」「夏休みの間に」など期間を区切る
  • 写真や動画で記録したり、チェックシートを作るのも効果的

5. 達成したら“しっかりほめて”“一緒に振り返る”

  • できたことを「すごいね」「がんばったね」と一緒に喜ぶ
  • 「どうやったらできた?」「次は何をやりたい?」と話し合うことで、自己評価や意欲が伸びる

■発達を促す“支援的な目標設定”の例

●縄跳びの場合

  1. 縄跳びの回し方・足のジャンプの練習からスタート
  2. 1回跳べたら「今日は3回に挑戦しよう!」と少しずつ回数アップ
  3. 「連続で10回跳べる」「後ろ跳びにチャレンジ」など、できるようになったことを確認しながら段階的にレベルアップ
  4. 苦手な場合は、「縄を回さずジャンプだけ」「友だちと一緒に跳ぶ」など、遊び感覚で“成功体験”を積み重ねる

●運動以外の場合

  • 「靴を自分で履けるようにする」「朝の支度を5分短縮する」「お片付けを毎日1回できるようにする」など日常生活動作も目標にしやすい

■目標設定の落とし穴と注意点

  • 大人だけが決めてしまわない
     →子どもの気持ちやペースも尊重
  • 「できなかった」ときに責めない・比較しない
     →前進した部分を一緒に見つけて、次の目標を柔軟に調整
  • 長期的な視点も大切
     →すぐできなくても、ゆっくり積み重ねることが成長の力になる

■まとめ

子どもの発達支援では、「目標設定」が大きな力になります

  • 科学的にも、目標を持つことでやる気や行動力が高まる
  • 目標はできるだけ「具体的」「達成可能なレベル」で、「本人の気持ち」を大切に設定
  • できたときにはしっかりほめて、次への意欲や自信につなげる
  • 小さな成功体験の積み重ねが、発達と心の成長を支える

たとえば「縄跳びを10回跳べるようにする」だけでも、そこまでの「準備」や「練習」「達成のよろこび」を通して、体力だけでなく、自己肯定感や挑戦する力も育ちます。

発達が気になる子どもこそ、「できた!」を一緒に喜べる“目標設定”を、ぜひ日々の支援や家庭生活に取り入れてみてください。

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