ふと疑問に思うことはありませんか?
「この子の性格や能力は、生まれつきのものなのかな?」「それとも、私たちの関わり方や育つ環境で変わっていくのかな?」
実は、子どもの発達には“生まれ持った特性(遺伝)”と“周りから受ける影響(環境)”が、複雑に絡み合って関わっています。
親の存在はもちろん大きな影響力を持ちますが、それだけではありません。
友達や地域、学校、そして親以外の大人との関わりも、子どもの心や能力を育てる大切な要素なのです。
今回は、発達心理学や脳科学、そして日本国内の統計や研究結果をもとに、「環境が子どもの成長にどう影響するのか」をわかりやすく解説します。
読んだ後には、日々の関わり方や環境づくりに、少し新しい視点が加わるかもしれません。
1. 日本国内の子どもの成育環境に関する現状
- 家庭構成の変化
文部科学省のデータによれば、2000年代初頭(平成12〜16年)において、約10%の児童が片親または親が同居していない家庭で育っていたとされています文部科学省。この背景には、ひとり親世帯の増加や共働き家庭の増加など、家庭環境の多様化があります。 - 子育て支援への期待と声
内閣府の「こども1万人意識調査」(2023年)では、子ども自身から以下のような切実な声が多く寄せられています
・“親や学校の先生以外に相談できる人や場所をわかるように教えてほしい”(11歳)
・“親の収入に関係なく、学べる環境を作って欲しい”(14歳)自衛隊外国語学校
親以外の大人や制度への期待が強くあり、子ども自身が「もっと多様な支援に触れたい」と望んでいる様子がわかります。
2. 遺伝・共有環境・非共有環境—それぞれの役割とは?
科学的研究では、子どもの発達における影響要因を「共有環境」と「非共有環境」に分けて考察する手法が多く用いられます。
- 共有環境
・・・家族で共通して経験する環境(例:家庭の経済状況、親の教育姿勢など) - 非共有環境
・・・兄弟間でも異なる経験(例:友だち関係、習い事、個別の体験など)
研究では、非共有環境が発達において重要な影響力を持つという結果もあり、共有環境よりもむしろ「子ども自身が異なる環境で得る経験」が、個性や能力の違いを作り出す大きな要因となっています。
3. 日本や近隣地域の科学的研究から見る「環境の影響」
環境が脳・心理に与える影響
- 慢性的な逆境(小児期逆境体験:ACE)
家庭の貧困や虐待、不仲、地域環境の悪さなど、子どもの心身の発達を阻む「慢性的な逆境」が、その後の人生に負の影響を及ぼすことが精神医学研究で指摘されています。
養育環境の形態と発達の違い
- グループホームなど家庭的な環境の有効性
韓国の子どもを対象とした研究では、グループホーム(少人数・家庭に近い環境)で育つ子どもと、大規模施設に暮らす子どもを比較したところ、前者の方が“他者への思いやり”や“感情の安定”、そして“将来を見据える志向”がより高かったという結果が示されています。日本でも同様の生活環境の違いが発達に与える影響の調査が進行中です。
経済格差と学力・成績の関係
- 学力に影響する要素の比率
双生児を対象とした研究では、学力に対する遺伝の影響が65~70%で、家庭の経済格差による影響は大きくないものの、それでも最終的には「まだ40%近くは未知の環境要因」が学力に関わっているとされます。 - 遺伝の影響は限定的?
知能や教育年数に及ぼす遺伝の影響は、全体のうちわずか10%程度であり、残りは環境やその他の因子が占めているという分析もあります。つまり、家庭の資源だけでは説明できないほど多様な要素が成長に影響しているのです。
4. 日本の社会背景と環境の関係
- 少子化と多様化する家庭のかたち
2023年の合計特殊出生率は1.39。さらに社会の高齢化が進む中、将来的には子どもの数が現在の半分程度になるという見通しもあります。そのような時代において、親以外の支え合い、地域や制度の役割がますます重要になるでしょう。 - 政策としての「子どもを育てやすい環境づくり」
2025年4月に施行された「こども基本法」に基づき、子ども家庭庁が子ども政策の司令塔となって、社会全体で子育て支援を進める取り組みが始まっています。
5. まとめと日常でできること
子どもの成長は「遺伝 × 共有環境 × 非共有環境」の複合的な作用で形づくられるというのが科学の現状です。日本の統計でも、家庭構成の多様化や制度整備の必要性が示されています。
家庭で心がけたいこと
- 「安心できる家庭環境」「応答的な会話」「挑戦を見守る姿勢」を意識
- 友だちや地域、先生、専門家などとの関わりの機会を意識的につくる
社会として大切な視点
- 経済格差を超えて、すべての子どもに公平な教育や支援を提供すること。
- 家庭外の関わりや制度(地域、専門職、公共サービス)の充実が、子どもの成長を支える重要な柱となる。
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