理学療法士がすすめる「家庭でできる運動療育」10選~中学生編~

感覚

「姿勢が崩れている」「イライラしやすい」「勉強に集中できない…」
そんな中学生の困りごと、実は“脳や身体の成長バランス”が関係しているかもしれません

思春期は、心と身体と脳が急速に変化する大切な時期
この時期にこそ「体を通じた働きかけ」がとても効果的です。

この記事では、自宅で手軽に取り組める中学生向けの運動療育10選をご紹介します。


理学療法士の視点から、心と脳にアプローチするシンプルな方法を解説。
親子で一緒にできる工夫も入れながら、思春期の発達を支えるヒントにしていただけたら嬉しいです。

小学生編はこちら👇

理学療法士がすすめる「家庭でできる運動療育」10選~小学生編~


思春期の脳と身体は“アンバランス”

中学生期は、大脳の前頭前野(判断・感情・集中)が発達段階にある一方で、身体は大人並みに成長するため、行動や感情にギャップが生まれやすい時期です。

  • 集中できない
  • 無気力やイライラ
  • 姿勢の崩れや身体の不調

これらの問題には、「運動を通じた身体からのアプローチ」が効果的だと、複数の研究でも報告されています。


中学生向け「家庭でできる運動療育10選」


【1】壁スクワットチャレンジ

壁に背をつけてスクワット。足は肩幅、膝は90度に。30秒から挑戦。

  • ねらい: 姿勢保持、体幹強化、集中持続力
  • ポイント: 毎日記録して自己管理力アップ!

【2】“目を閉じて”バランス立ち

目を閉じて片足立ち。初めは10秒から。バランス+感覚統合に最適。

  • ねらい: 前庭感覚、空間認知、内的集中
  • コツ: 朝に行うと脳がシャキッと目覚めます

【3】プランク・チャレンジ

体幹を支えるプランク。肘とつま先で支える姿勢をキープ!

  • ねらい: 体幹、姿勢制御、疲労感の予防
  • 工夫: 親子でタイム競争をすると盛り上がる!

【4】視線スクロール運動

頭を動かさずに、左右や上下の指を目で追う。静かな環境で集中して。

  • ねらい: 視覚運動協応、目の筋肉の調整、眼精疲労予防
  • 活用: 勉強前に行うと集中しやすくなる

【5】ブリッジ or ヒップリフト

仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる。ゆっくり10回を目安に。

  • ねらい: 骨盤・腰の安定、運動後のリラックス
  • 利点: 生理中の女子にも取り入れやすい優しい運動

【6】椅子タッチゲーム

2つの椅子を置いて、間をステップで移動。左右交互にタッチ。

  • ねらい: リズム感、運動の切り替え、注意力
  • アレンジ: 音楽に合わせても楽しい!

【7】体を使ったじゃんけん(全身で)

グー=しゃがむ、チョキ=片足立ち、パー=ジャンプなど。脳と身体を連動させる遊び。

  • ねらい: 反応速度、認知力、楽しい刺激
  • 時間帯: 朝の起床直後におすすめ

【8】リズム呼吸×ストレッチ

4秒吸って→4秒止めて→4秒吐いて→軽く体側を伸ばすストレッチをセットで。

  • ねらい: 自律神経の調整、集中力のリセット
  • 学習中に: 勉強の合間の「脳の深呼吸」として活用

【9】“親子で背中押し”ゲーム

背中を合わせて立ち、軽く押し合う。力加減と体のバランスが重要。

  • ねらい: 固有受容覚、姿勢筋、親子の信頼感
  • 面白さ: 笑いが出るとストレスも解消!

【10】静かに“ゆれる”ストレッチ

足を開いて立ち、左右にゆっくり重心を移す。メトロノームや音楽でリズムをつけるのも◎

  • ねらい: 内省、リラックス、イライラの抑制
  • 夜に: 就寝前に行うと睡眠の質UP

実際の家庭での活用方法

シーン活用例
朝の支度がグダグダ…【1】【3】【7】で10分ルーティン
勉強の合間にぼーっとする【4】【8】でリセット
夜寝つきが悪い【5】【10】でクールダウン
イライラ・反抗が出る時【6】【9】で共感ベースの運動

思春期における運動の科学的効果

  • 運動は実行機能を高め、学習効果を促進する
     → Hillman, C. H. et al. (2009). Exercise improves cognition in children.
  • 適度な身体活動は、ストレスホルモンの分泌を減らし、感情の安定に寄与
     → Lubans, D. R. et al. (2016). The psychological benefits of physical activity for adolescents.
  • 睡眠の質を改善し、脳の回復力を高める
     → Lang, C. et al. (2013). Physical activity, sleep, and academic achievement in adolescents.

理学療法士からのメッセージ

中学生期は、学業・人間関係・自己肯定感など、様々な課題に向き合う時期です。
そんな中で、「体を動かすこと」が思いのほか大きな支えになります。

  • 頭で考えても動けない
  • 怒られても行動が変わらない
  • やる気はあるのに疲れやすい

このような悩みを持つ子どもたちに、まず「体」からのアプローチを試してみてください

日常生活にちょっとした運動療育を組み込むことで、
心の安定・学習意欲・親子の関係性が驚くほど変わることがあります。


まとめ

  • 中学生は“心と体と脳”が激変する思春期
  • 家庭での簡単な運動が「調える力」になる
  • 親子の信頼関係・感情調整にも有効

今日から1つでもOKです。
「体を通じて支える」という視点が、親としての不安や焦りも和らげてくれるはずです。

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