「うちの子、なんか動きがぎこちないな」「運動神経がないな~」「なんでこんなに運動が苦手なんだろう」
そんなことを思っていませんか?
はじめまして!理学療法士の ゆうだい です
このブログでは、運動がちょっと苦手なお子さんのための、感覚統合や身体づくりについて、やさしく分かりやすく解説しています。
僕は 理学療法士 として、主に「体の動かし方」や「感覚のバランスを整えるトレーニング」を専門にしています。
今回の記事では、子供の運動神経低下に潜む環境的要因と背景因子について解説していきます。
親と学校の関わりは悪くない‼
そんな風におもってもらえたら嬉しいです。
はじめに
スマホやタブレットが身近になり、室内遊びが増えた現代。
一方で、子どもたちの「走る」「跳ぶ」「投げる」といった基本的な動き――いわゆる運動神経が低下しているという声が聞こえてきます。
実際に、文部科学省の「体力・運動能力調査」では、1990年代以降、握力や50m走、立ち幅跳びの全国平均が緩やかに低下傾向にあることが報告されています(文部科学省, 2016)。
本稿では、海外・国内の論文を参考に、現代の子どもに起きている運動神経低下の背景要因と、家庭でできる改善策をご紹介します。
1. 運動神経低下のエビデンス
- 長期的な体力低下傾向
日本国内では1999〜2015年のデータを解析した川崎ほか(2018)が、握力・50m走・立ち幅跳びで平均点が3%前後低下したと報告。 - 世界的な現象
イギリスのTomkinson et al.(2019)は、1970年代以降の世界20か国の子どもの体力データをレビューし、ほとんどの国で「瞬発力」「持久力」が下降傾向にあると指摘。
2. 背景にある環境的要因
- 屋外遊びの減少
都市化や治安の不安から、公園・路地で自由に走り回る機会が減少。Nelson & Gordon-Larsen(2006)は、毎日の屋外遊び時間が30分以上ある子は、身体能力が有意に高いと報告。 - スクリーンタイムの増加
WHOは2歳以上の子どもの画面視聴を1日1時間までにと推奨していますが、実際には2~3時間を超えることも珍しくありません。過剰な座位行動が筋力・持久力の低下を招くとの研究があります(Saunders et al., 2013)。 - 体育の授業時間・内容の変化
学校のカリキュラム改定で体育の授業時間が削減された、あるいは「体力テスト重視」で多様な運動体験が少なくなったという指摘もあります。
3. 家庭でできる改善策
運動神経を育むには、「基礎感覚→バランス→協調運動→複合動作」のステップが大切です(Ayres, 1972)。以下のワークを週2~3回、楽しみながら取り入れてみましょう。
3.1 屋外遊びを取り戻す
- 近所の公園で「30分間フリーランニング」
- 親子でキャッチボール/ボール蹴り
3.2 画面時間のルール化
- タイマーを使い、1日60分までに制限
- 画面オフ中は「ステップ運動(階段昇降)」をセットで
3.3 感覚統合ピラミッドワーク
- 基礎感覚:バランスボールに揺れる/触覚マット歩き
- バランス:片足立ちぬいぐるみキャッチ
- 協調運動:クロスジャンプ/じゃんけん遊び
- 複合動作:簡易ジムコース(跳び箱模倣+クッションジャンプ)
感覚ピラミットについてはこちらの記事を
「感覚統合ピラミッド」とは?子どもの運動・落ち着き・集中力を伸ばす家庭ワーク集
4. まとめ
現代の子どもたちの運動神経低下には、
屋外遊びの減少・スクリーンタイム増加・学校環境の変化などが複合的に関与しています。
つまり、子供の運動神経が悪いのは学校や親御さんの教育が悪いからではありません!!
家庭でのちょっとした工夫と「感覚統合ピラミッド」アプローチを取り入れることで、
子どもの基礎体力や運動スキルは確実に伸ばすことが可能です。
まずは「30分の公園遊び」と「簡単なバランスワーク」を週に2回から始めてみましょう!
参考文献
- 文部科学省「体力・運動能力調査」報告書 (2016)
- Kawasaki et al. “Long-term trends in motor fitness among Japanese children,” Journal of Physical Education, 2018.
- Tomkinson et al. “Global trends in child physical fitness,” Sports Medicine, 2019.
- Nelson & Gordon-Larsen, “Physical activity and its correlates,” Pediatric Exercise Science, 2006.
- Saunders et al., “Sedentary behavior and health outcomes,” Applied Physiology, 2013.
- Ayres, A.J. “Sensory Integration and Learning Disorders,” 1972.
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