「うちの子、集中力がなくて…」「勉強を始めてもすぐに姿勢が崩れる」「落ち着きがなく、話を聞いていない気がする」
こうした悩みを持つ方は多いのです
すると、
「頭の問題なのかな」
「もっと勉強させた方がいいのかな」
と不安になるかもしれません。
ですが実は、こうした困りごとの背景には
“体の使い方”や“運動経験”が関係していることがあります。
今回の記事は、身体の専門家である理学療法士が、運動と頭の良さの関係・おススメの運動について解説していきます。
結論:運動経験が子供の発達を助けるきっかけになる。

運動すると本当に「頭が良くなる」の?
まず大切なことをはっきりさせます。
運動をしたからといって、直接成績が上がったり、IQが上がるわけではありません。
これは正直な事実です。
ただし、研究や発達の考え方から見ると
運動には次のような効果があることが分かっています。
- 集中しやすくなる
- 話を聞き続けやすくなる
- 気持ちや行動を切り替えやすくなる
つまり運動は、
「頭を良くする」というより
「頭がよく働くための土台をつくる」役割を担っています。
小学生は「体を通して学ぶ時期」
小学生の脳は、まだ発達の途中です。
この時期の学びは
- 机の上だけ
- 言葉や文字だけ
では完結しません。
体を動かす中で
- 感じて
- 予測して
- 調整して
- 失敗して
- もう一度やってみる
こうした経験の積み重ねが、
考える力・集中力・我慢する力につながっていきます。
「頭を良くする運動」の勘違い
ここでよくある誤解があります。
❌ きつい運動をさせた方がいい
❌ 筋トレをすれば脳も鍛えられる
❌ スポーツを習わせないと意味がない
実はこれらは、必ずしも正解ではありません。
小学生にとって大切なのは
強さやきつさではなく、体の使い方です。
小学生におすすめの「考える力を育てる運動」
ポイントは次の3つです。
- 全身を使う
- バランスや調整が必要
- 少し考えながら動く
① バランスを使う運動・遊び

例
- 片足立ち
- クッションや座布団の上に立つ
- 公園の平均台
バランスを取るには
- 自分の姿勢を感じる
- 体の揺れを調整する
- 集中を続ける
といった力が必要です。
これは、勉強中に
- 姿勢を保つ
- 集中を続ける
力の土台になります。
② 左右をまたぐ動き(クロス動作)

例
- 右手で左ひざをタッチ
- ハイハイ
- 雑巾がけ
左右をまたいで動くことで
体だけでなく、情報の整理や切り替えにも関係する力が使われます。
手と足の協調性なども養われるため、学習やスポーツといったより高度な活動の土台となっていきます。
※読み書きや注意の切り替えが苦手な子ほど、こうした動きが少ないこともあります。
③ ルールのある運動・遊び

例
- だるまさんがころんだ
- 色おに
- 「止まる・動く」を切り替える遊び
これらの遊びでは
- 指示を聞く
- 判断する
- 行動を止める
といった力が必要になります。
この力は
授業中に話を聞く・順番を待つ・切り替える力と深く関係しています。
家庭で取り入れるときのポイント
難しく考える必要はありません。
- 1日5〜10分でOK
- 正しくやらせなくていい
- 上手さは気にしない
- 楽しそうかどうかを大切に
「運動しなさい」ではなく
「一緒に遊ぼう」がちょうどいい声かけです。
まとめ:勉強が苦手な子ほど、体から整える
運動は
テストの点数を直接上げる魔法ではありません。
ですが
- 集中しにくい
- 姿勢が崩れやすい
- 落ち着きがない
こうした小学生の困りごとに対して、
体からアプローチすることは、とても現実的な選択肢です。
勉強がうまくいかないときほど、
少し体を動かす時間を見直してみる。
それが
「考える力」を支える第一歩になるかもしれません。



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