「なんとなく猫背かも?」「体育が苦手…」
お子さんの姿勢や動きに気になることはありませんか?
実は、姿勢や基本的な動作は、集中力や学習、運動の基礎にも大きく関係しています。
本記事では、理学療法士の視点から、家庭で簡単にできる姿勢・動作チェック方法をご紹介。
日々のちょっとした気づきが、未来の身体づくりにつながります。
1. なぜ姿勢や動きのチェックが必要なの?
「姿勢が悪い」「動きがぎこちない」と言われることには、見た目だけでなく、感覚や筋力、バランス能力といった“見えない要素”が関係しています。
特に子どもの発達期には、正しい身体の使い方を自然と覚えることがとても重要です。
また、姿勢や動きは、以下のような影響を及ぼします。
- 集中力や学習効率の低下
- 運動能力の偏りや苦手意識
- 疲れやすさやイライラ感
早めに気づき、正しい方向へ導くことで、子ども自身の自信や楽しさにつながります。
アメリカの作業療法士アーシュ博士による古典的研究によると、感覚のバランスは、姿勢や動作の滑らかさと深く関係しています(Ayres, 1972)。この土台が不安定だと、集中力や運動の苦手感にもつながりやすいのです。
他にも、姿勢保持力や体の動かし方は、運動面だけでなく「集中しやすさ」にも影響します(Donnelly et al., 2016)
2. 家庭でできる!姿勢チェック3選
まずは、鏡やスマホを使って、以下の3つのポイントを確認してみましょう。
① 正面からのチェック
- 肩の高さが左右で違わないか
- 頭がどちらかに傾いていないか
- 膝の向きや足の開きが対称か
② 横からのチェック(横向きの写真を撮ると◎)
- 耳・肩・腰・くるぶしが一直線か
- あごが前に出ていないか
- 腰が反りすぎていないか
③ 座っているときのチェック
- 背中が丸まっていないか(猫背)
- 足が床についているか
- 片方だけに体重をかけていないか
正しい姿勢は、楽に長く座れる感覚があります。
逆に「すぐ崩れる」「よく姿勢を直される」なら、基礎的な筋力や感覚の課題が隠れているかもしれません。
3. 家庭でできる!動きのチェック4つ
次に、日常の中で観察できる「基本動作」のチェックです。
① 片足立ち(バランス)
- 左右それぞれ何秒立てるか(小学生は5秒以上が目安)
- ぐらついたり、すぐ足をついたりしないか
バランス感覚は発達のバロメーターとも言われ、例えば「片足立ち5秒以上」が1つの目安になります(Cumberworth et al., 2007)。
② 前屈(柔軟性)
- ひざを伸ばしたまま、どこまで手が届くか
- 左右差や痛みはないか
柔軟性や体幹の筋力不足は、姿勢の崩れやすさとつながりやすいという研究もあります(Grimmer et al., 2002)。
③ 両手・両足の協調運動
- じゃんけんで「グー・チョキ・パー」を交互に出せるか
- リズムよくジャンプしたり、ボールをキャッチできるか
④ 立ち上がり・階段の動作
- 椅子から立ち上がるとき、どこかに手をつかないと立てないか
- 階段を交互の足で登れるか(同じ足ばかりで登っていないか)
これらの動きは、感覚統合や筋力、姿勢制御の状態が影響します。
「ぎこちない」「不自然」と感じた場合は、部分的な練習や感覚刺激が効果的です。
4. 家庭でできるサポート方法
チェックで気になる点があったら、すぐに矯正しようとせず、遊びの中で楽しみながらアプローチしていきましょう。
① 感覚刺激あそび
- 裸足で芝生やタオルの上を歩く(足裏刺激)
- くるくる回る・ブランコ・ジャンプ(前庭覚)
② 体幹トレーニング
- バランスボールに座って揺れる
- うつ伏せで両手両足を上げる「スーパーマンポーズ」
③ 姿勢づくり環境の工夫
- 足がつく椅子・机の高さを調整
- 長時間座らず、30分ごとに立つ・動く習慣
5. まとめ|毎日の観察が未来のカラダをつくる
「うちの子、大丈夫かな?」と感じたら、まずは家庭で観察&簡単チェックから始めてみましょう。
姿勢や動きの癖は、日々の習慣や遊びで少しずつ変化していきます。
お子さんの「気になる」を責めずに、できたことを見つけて「すごいね」と声をかけることが、何よりの成長サポートになります。
今後も、理学療法士の視点で子どもの身体や動きに関する情報を発信していきます。
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