「22時に寝る」は間違い?成長ホルモンを最大化する睡眠と運動

発達

「早く寝ないと背が伸びないよ!」
毎晩、そう言って子どもに言っていませんか?

記事①【基礎編】記事②【食事編】と続いてきた
「身長を伸ばすシリーズ」
最後は「睡眠と運動」です。

実は、「寝る子は育つ」という昔からの言葉には、医学的な裏付けがあります。

しかし、「何時に寝るか」については、多くの誤解が広まっています。

「22時までに寝かせなきゃ」というプレッシャーで親御さんがイライラしてしまうと、かえって子どもの睡眠の質を下げることになりかねません。

今回は、理学療法士として、
「成長ホルモンをドバッと出す睡眠のコツ」と
「骨を伸ばす運動(縦刺激)」について、

最新のエビデンスに基づいて解説します。


【睡眠】「ゴールデンタイム」の嘘とホント

「22時~深夜2時が成長ホルモンのゴールデンタイム」
という話を聞いたことがあると思います。

しかし、現代の睡眠医学では、この説は正確ではないとされています。

成長ホルモンが出る条件は「時刻」ではない

成長ホルモンは、時計を見て「あ、22時だから出そう」と分泌されるわけではありません。

分泌のスイッチは、「入眠直後の最も深い眠り(徐波睡眠)」に入った時にオンになります。

つまり、21時に寝ても、23時に寝ても、
「寝入ってから最初の90分〜120分」にいかに深く眠れるかが勝負なのです。

  • 「何時に寝るか」よりも「どう寝るか(深さ)が重要
  • 成長ホルモンの1日の総分泌量のうち、約70〜80%がこの「最初の深い眠り」で分泌されます

「寝る前のスマホ」が絶対NGな理由

「寝る直前までYouTubeを見ている」
「ゲームをして興奮している」
これが一番良くないのは、ブルーライトや興奮によって脳が覚醒し、

「最初の深い眠り」が浅くなってしまうから

これでは、せっかく寝ても成長ホルモンの分泌チャンス(ボーナスタイム)を逃してしまいます。


「深睡眠」への誘導術

発達が気になるお子さんの中には、
感覚過敏や特性により「寝付きが悪い」「夜中に起きる」という子も少なくありません。

「早く寝なさい」と叱る代わりに、身体の仕組みを利用して眠気を誘うテクニックを使いましょう。

① お風呂は「寝る90分前」に済ませる

人は、身体の深部体温が「下がる」時に猛烈な眠気を感じます。

お風呂で一度体温を上げ、お布団に入る頃にちょうど体温が下がるように調整すると、スムーズに深い眠りに入れます。

② 朝の光で「夜のホルモン」を予約する

夜に眠くなるホルモン(メラトニン)の材料は、朝に作られる「セロトニン」です。

セロトニンは「朝の光を浴びる」ことで分泌されます。

「夜寝ない」なら、まずは「朝カーテンを開けて光を浴びさせる」ことから始めましょう。


【運動】骨は「叩くと伸びる」性質がある

次は運動です。

理学療法士として断言しますが、適度な運動なしに骨の成長はありえません

これには「ヴォルフの法則」という生理学の原則が関係しています。

ヴォルフの法則
骨は、加わる力(負荷)の大きさに応じて、その構造を変え、強くなる

簡単に言うと、

骨は「縦方向の衝撃」を受けると、
骨端線(成長線)が刺激され、活発に細胞分裂を始めます。

おすすめは「ジャンプ」する遊び

特別なスポーツ教室に通う必要はありません。

日常の遊びの中で「縦の動き」を取り入れましょう。

  1. 縄跳び(ジャンプ)
    連続した縦方向の刺激が入る、最高の身長アップ運動です
  2. トランポリン
    発達支援の現場でもよく使われます。
    関節への負担を減らしつつ、骨端線を刺激でき、体幹も鍛えられるので一石二鳥です。
  3. 外遊び(鬼ごっこ・かけっこ)
    走る時の着地衝撃も、骨への良い刺激になります。

逆に、過度な筋トレ(重いバーベルを持つなど)は、関節を痛めるリスクがあるため、成長期には推奨されません。

「自重(自分の体重)」を使った運動で十分です。


忘れちゃいけない「日光浴」

食事編でカルシウムの話をしましたが、実はカルシウムはそれ単体ではあまり吸収されません。

カルシウムを腸から吸収し、骨に沈着させる接着剤の役割をするのが「ビタミンD」です。

ビタミンDは、食品(魚やキノコ)からも摂れますが、
「日光(紫外線)を浴びる」ことで皮膚で合成されます。

  • 今の子供たちは、外遊びが減り、ビタミンD不足が深刻です
  • 夏なら木陰で30分、冬なら1時間程度、外で遊ぶだけで十分な量が作られます

「外で遊ぶ」ことは、
「縦の刺激(運動)」と「ビタミンD合成(日光)」の両方を満たす、最強の成長習慣なのです。


まとめ:3つの記事の総復習

これまで全3回にわたり、理学療法士の視点で「身長」について解説してきました。

  1. 【基礎編】
    身長の8割は遺伝だが、残り2割は環境で決まる。骨端線が閉じるまでが勝負。
  2. 【食事編】
    カルシウムより「エネルギー不足」の解消が最優先。亜鉛とタンパク質を意識する。
  3. 【運動・睡眠編】
    寝る時刻より「最初の90分の深さ」が大事。外遊びで骨に縦の刺激を与える。

身長を伸ばす魔法のサプリメントはありません。

しかし、
「邪魔している要因(エネルギー不足、睡眠不足、運動不足)」を取り除くことで、お子さんが持っている遺伝的なポテンシャル(伸びしろ)を最大限まで引き出すことは可能です。

焦る必要はありません。

まずは「おやつにおにぎりを出す」「週末は公園で一緒に走る」といった、小さな習慣から変えていきましょう。

それが、お子さんの健やかな成長への一番の近道です。

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