はじめまして!理学療法士の ゆうだい です。
このブログでは、運動がちょっと苦手なお子さんのための、感覚統合や身体づくりについて、やさしく分かりやすく解説しています。
僕は 理学療法士 として、主に「体の動かし方」や「感覚のバランスを整えるトレーニング」を専門にしています。
今回の記事では、学校生活の中で見られる子どもの不適合行動の背景にある「からだの発達」について、わかりやすくお話ししていきます。
はじめに
「学校でじっと座っていられない」
「すぐに友達とトラブルになる」
「先生の指示がなかなか通らない」
こうしたお子さんの行動に、悩んでいるご家庭も多いと思います。
もしかすると、それは単なる性格やわがままではなく、「からだの発達」と深く関係しているかもしれません。
理学療法士としての視点から、感覚統合の課題について、わかりやすくお話ししていきます。
「感覚統合ピラミッド」ついてはこちら
「感覚統合ピラミッド」とは?子どもの運動・落ち着き・集中力を伸ばす家庭ワーク集
「感覚統合」とは?
私たちの体には、目・耳・鼻といった五感だけでなく、
- 触覚(さわる感覚)
- 前庭覚(バランス感覚)
- 固有覚(筋肉や関節の動きを感じる感覚)
といった、日常生活に欠かせない「基礎感覚」があります。
これらの感覚情報を脳が整理してまとめる仕組みを「感覚統合」と呼びます。
感覚統合がうまくいくことで、私たちは体を適切に動かしたり、周囲の環境に合わせて行動できるようになるのです。
感覚統合がうまくいかないとどうなる?
感覚統合に課題があると、学校生活に影響するさまざまな「困りごと」が現れることがあります。
① 姿勢が悪く、集中できない
→【原因】背中やお腹の「固有感覚」が育っていない
椅子に長く座っているためには、背中や腹筋の筋肉に「今、自分の体がどうなっているか」を感じる力が必要です。
この感覚が未熟だと、知らないうちに背中が丸くなったり、グニャグニャと動いてしまい、集中力も持続しにくくなります。
② じっとしていられず動き回る
→【原因】前庭感覚(バランス感覚)が不安定
体のバランスを取る「前庭覚」が育っていないと、じっとしていること自体がとても不快に感じます。
自然と体を揺らしたり、席を立ったりすることで、自分の感覚を「落ち着かせよう」としている場合が多いのです。
③ 友達とのトラブルが多い
→【原因】触覚・距離感覚のズレ
触覚の過敏さや鈍さがあると、人との距離感を適切に取るのが難しくなります。
「押された!」「近すぎる!」と感じやすかったり、逆に無意識に他人に近づきすぎてしまったりすることで、トラブルが起きやすくなります。
④ 指示が通りにくい、話を聞き逃す
→【原因】感覚の過負荷、または整理の苦手さ
たくさんの視覚・聴覚情報が一度に入ると、うまく整理できずに混乱してしまうことがあります。
その結果、先生の話が聞き取りづらかったり、注意があちこちに向いてしまったりするのです。
「発達課題」は悪いことではない
ここで強調したいのは、
発達課題や感覚統合の未熟さは、決して「怠け」や「親のせい」ではないということです。
脳や体の成長スピードには、個人差があります。
たまたま今、感覚の育ちが追いついていないだけ。
正しい理解と、適切な支援があれば、子どもたちは必ず「自分らしい成長」を遂げていきます。
ご家庭でできるサポート例
感覚統合を促すために、特別な道具や高価な教材は必要ありません。
身近な遊びや経験が、何よりの支えになります。
【おすすめの家庭ワーク】
- クッションの上でバランスとりゲーム(前庭覚+固有覚)
- タオルやボールを使った引っぱり遊び(固有覚)
- スキンシップやマッサージ(触覚の安心感)
- 公園でブランコや鉄棒遊び(前庭覚刺激)
大事なのは、楽しい!またやりたい! と思える体験を積み重ねることです。
専門家への相談もひとつの選択
もし学校生活での困りごとが続き、家庭でも工夫しているのに改善が難しい場合は、
理学療法士や作業療法士、発達支援の専門家に相談するのも選択肢のひとつです。
専門的な評価によって、
- どの感覚が未熟なのか
- どのようなサポートが適しているか
がわかり、よりお子さんに合った支援ができるようになります。
早期に適切なサポートを受けることで、子どもたちは無理なく、のびのびと成長できる道を見つけていけるでしょう。
まとめ
学校で見られる「気になる行動」は、
子どもたちの「からだ」や「感覚」からのサインかもしれません。
問題行動ととらえるのではなく、
「何か困っているのかも」という優しい視点で、
まずは子ども自身の感覚に寄り添ってあげることが大切です。
理学療法士として、これからもそんな子どもたちの成長を、そっと支える存在でありたいと思っています。
今できることから、ひとつずつ一緒に取り組んでいきましょう。
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