学校生活の事故やケガを防ぐために──「動作観察」「姿勢評価」とケガ予防体操のコツ

バランス

子どもたちが元気に過ごす学校生活。
でも、日々の中では「転んだ」「ぶつけた」「足をひねった」など、思わぬケガや事故が起こりがちです。
保護者や先生にとっても、「どうやったらケガを防げるの?」「何か家庭や学校でできることは?」と心配や疑問を持つ方が多いでしょう。

理学療法士の立場からみると、「ケガの予防」は日々の動作観察や姿勢評価、そして体を使った遊びや体操の工夫によって大きく変わることがわかっています。

この記事では、「なぜケガが起こるのか」「どうすれば予防できるのか」、そのポイントと具体策をわかりやすく解説します。


■なぜ学校で事故やケガが起きやすいのか?

●子どもならではの“リスク”

  • 骨や筋肉がまだ発達途中で、バランスがとりにくい
  • 新しい動きや高い場所にチャレンジする意欲が強い
  • 集団行動の中でスピードや動きが乱れやすい
  • 気温や天候、床の状態(濡れている・滑りやすい)など、環境要因も多様

●発達段階による「つまずきポイント」

  • 幼児~小学校低学年:走る・跳ぶ・よじ登るなどの基本動作が未熟
  • 小学校高学年~中学生:複雑なスポーツや対人運動の中での事故(ぶつかる・転ぶ)が増加

●現代的な課題

  • 外遊びや運動量の減少による「体力・バランス能力の低下」
  • 長時間のスマホやゲーム、悪い姿勢が続くことで「姿勢不良」「動作のぎこちなさ」が目立つ子が増えている

■理学療法士が重視する「動作観察」と「姿勢評価」

●動作観察で“ケガのリスク”を見つける

  • ただ歩いたり走ったりしているだけに見えても、「足がよく引っかかる」「つま先が上がらない」「膝が内側に入る」など微妙な特徴が隠れていることがあります。
  • 体の使い方がうまくできていないと、「つまずく・転ぶ・捻挫」などのケガにつながりやすい。

観察のポイント例

  • 歩き方や走り方がふらついていないか
  • 段差や階段でよくつまずかないか
  • 片脚立ちやバランス遊びが苦手ではないか
  • 急な動き(方向転換・ストップ)がスムーズにできているか

●姿勢評価で“ケガしやすい姿勢”を見抜く

  • 姿勢が崩れる(猫背・反り腰・片足重心など)と、体に無理な力がかかりやすく、転倒や筋肉・関節のトラブルにつながります。
  • 悪い姿勢が習慣になると、疲れやすさや運動の苦手感も増す傾向があります。

姿勢評価のポイント例

  • 立ったとき・座ったときに背すじが伸びているか
  • 頭が前に出ていないか、肩や腰の高さが左右で違わないか
  • 足裏全体でしっかり立てているか
  • 長時間同じ姿勢で座れるか(すぐに崩れていないか)

■ケガの予防は「日常のちょっとした工夫」から

1. 転倒・捻挫を減らす「体の使い方」を身につける

  • バランス遊び(平均台、片足立ち、ケンケン、坂道のぼりなど)
  • 走る・止まる・ジャンプ・方向転換など基本的な運動パターンを、遊びの中でたくさん経験させる
  • 動きながら「周りを見る力」(空間認知・状況判断)を育てる

2. 「姿勢改善」体操を習慣に

  • 朝の体操、授業前後のストレッチ、体育の前の動的ストレッチ
  • 背すじを伸ばす運動(背伸び、肩甲骨を動かす体操、体側伸ばしなど)
  • 床や椅子に座る姿勢を時々チェックする

3. 筋力・柔軟性アップもケガ予防のカギ

  • ふくらはぎや太ももの筋力強化(スクワット、つま先立ち、ランジなど)
  • 股関節・膝・足首のストレッチで柔軟性を保つ

4. 身近な環境にも配慮を

  • 濡れた床、散らかった教室、段差や障害物に注意
  • 靴のサイズやフィット感も大切(大きすぎる・小さすぎる靴は転倒リスクUP)

■学校・家庭でできる「けが予防体操」の例

●バランス力アップ

  • 片足立ち(両手を広げて、10秒間静止/目を閉じてチャレンジ)
  • ケンケン・スキップ・縄跳び
  • 平均台やラインの上をまっすぐ歩く

●筋力・柔軟性体操

  • スクワット(正しい姿勢で10回×2セット)
  • ブリッジ(仰向けでお尻を持ち上げる)
  • 体側伸ばし(腕を頭の上に上げ、体を左右にゆっくり倒す)

●姿勢リセット体操

  • 肩甲骨を動かす運動(両肩をぐるぐる回す/背中で手を合わせる)
  • 背伸び・深呼吸・「猫と犬のポーズ」など

■事故・ケガを予防する「声かけ」と「環境づくり」

  • 「あぶないからダメ」ではなく、「どうしたら安全にできるかな?」と考えさせる
  • 遊びや運動の前後に、みんなで体操やストレッチを取り入れる
  • 日常的に「体の動き」や「姿勢」を一緒にチェックする習慣
  • 先生や保護者自身も、一緒に体を動かして見本を見せる

■まとめ

子どもたちの学校生活にケガはつきもの――でも、
日常の動作観察や姿勢チェック、ちょっとした体操やストレッチを続けることで「防げる事故・ケガ」はたくさんあります。

理学療法士の視点からは、

  • 体の使い方や姿勢の乱れが「ケガのサイン」になる
  • 「できている部分」と「課題」を早めに見つけることで、個別のアドバイスや運動プログラムも提案できる
  • 楽しく「体を使う」経験を増やすことが、事故やケガの予防だけでなく“運動能力や自己肯定感”の向上にもつながる

ケガゼロを目指すのではなく、「ケガを予防できる力」「リスクを回避する知恵」を日々の学校生活や家庭の中で育てていきましょう。

すこっぴーラボでは、理学療法士が専門的な視点でお子さんの動きや特徴を丁寧に分析し、保護者の方や先生と一緒に最適なサポート方法を考えます。

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