日常生活や遊びでのケガを防ぐために──親や支援者が知っておきたいポイントと理学療法士のアドバイス

発達

子どもたちの毎日は、家や園、学校、公園、友だちの家など、さまざまな場所であふれるような活動の連続です。
夏休みなどの長期休みに入ると学校以外の慣れない環境に行くこともあり、怪我をする子供が増えてくるとも言われます。

自由に動き回り、遊びを通して多くのことを学んでいく一方、ちょっとした不注意や環境の違い、発達段階の違いによって思わぬケガも起こりがちです。

理学療法士として、子どもの成長や発達を支えつつ、「ケガを防ぐ工夫」や「見守りのポイント」についてお伝えします。


■日常生活や遊びで多いケガの種類

●日常生活の中でよくあるケガ

  • 家の中での転倒(階段、段差、床の滑りやすさ)
  • 家具やおもちゃの角にぶつける
  • 椅子からの転落、ベッドやソファからの落下
  • ドアや引き出しでの指のはさみ
  • 台所や浴室でのすべり・やけど・切り傷

●外遊びでよくあるケガ

  • 転倒によるすり傷、打撲、ねんざ
  • ジャングルジムや鉄棒からの落下
  • ボールや遊具がぶつかる
  • 木登りや自転車での転倒
  • 水遊び・プールでのすべりや溺れかけ

●年齢・発達段階によってケガの特徴が変わる

  • 幼児期は「よちよち歩き」やバランスの未熟さから転倒や落下が多い
  • 小学生以降は、スピードや高さ、集団での動きが増えることで骨折やねんざも増える

■なぜケガが起きるのか?──発達と環境の観点から

●発達の“個人差”が大きな要因

  • バランス感覚、筋力、体の使い方、注意力には大きな個人差があり、同じ年齢でもできること・苦手なことが違う
  • 新しい動きや遊びにチャレンジする意欲もケガのリスクと表裏一体

●「環境」や「習慣」にも要注意

  • 家の中の段差や滑りやすい床、危険な家具の配置など
  • 屋外では、地面の凸凹・濡れている場所、遊具の劣化や不適切な使い方
  • 「裸足で走り回る」「靴のサイズが合っていない」なども転倒リスク

■理学療法士が考える“ケガ予防”のポイント

1. 子どもの「動きやすさ」と「苦手」を観察する

  • どんな動作のときに転びやすいか(走る・止まる・振り返るときなど)
  • 座った姿勢や歩き方、ジャンプや片足立ちの安定性を見てみる
  • 「体の使い方のクセ」や「バランスの取りにくさ」がないかを日常から意識

2. 環境の安全チェックを習慣に

  • 家や遊び場の床の状態(滑る・段差がある・物が散乱していないか)
  • 家具や遊具の配置、尖った角や段差にクッションやマットを使う
  • お風呂やキッチンなど、すべりやすい場所に滑り止めを設置

3. “声かけ”と“見守り”の工夫

  • 「気を付けて!」だけでなく、「ここは滑りやすいよ」「急がずゆっくり進もう」と具体的なアドバイス
  • 新しい遊びや高い場所、集団での遊びのときは、特に目を離さず見守る
  • できれば一緒に遊び、「どう動いたら安全か」を体感させる

4. 日常的な「体づくり」も重要

  • バランス遊び(片足立ち、ケンケン、平均台、マット運動など)
  • 筋力や柔軟性を育てるストレッチ、ラジオ体操、外遊びの時間を意識的に増やす
  • 正しい姿勢での座り方や歩き方も、転倒予防に役立つ

■親や支援者が意識したい「ケガを防ぐための習慣」

  • 子どもの成長・発達段階に合わせて「できること」「チャレンジしたいこと」を見極める
  • 新しい動きや場所では最初は大人が付き添う
  • 靴や衣服、遊び道具はサイズ・状態をこまめにチェック
  • 怪我を恐れるあまり「禁止」や「制限」ばかりせず、「どうしたら安全にできるか」を一緒に考え、工夫する
  • ケガをした時は、「責める」より「どうして起きたのか」「次はどうすれば防げるか」を一緒に話し合う

■まとめ

子どもの日常や遊びの中でのケガは、発達の証でもあります。

大切なのは「危険だから全部禁止」ではなく、安全にチャレンジできる環境と体づくり、見守りや声かけの工夫です。

理学療法士の視点からは、「動きやすい体」「バランス感覚」「環境への気づき」を育てることで、
ケガのリスクは大きく減らすことができます。

  • 子どもの動きをよく観察し、「どこで困りやすいか」を知る
  • 家や遊び場の安全をチェックし、必要な工夫を加える
  • 普段から体を使った遊びや運動を通して、体づくりを心がける
  • “できた!”“チャレンジできた!”の経験を、たくさん積み重ねてあげる

親も支援者も、「見守り」と「気づき」の目を持ちつつ、子どもの成長と安全のバランスを応援していきましょう。

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