「先生の話を聞いていないように見える」
「何度言っても支度が進まない」
「絵を見せたらすぐ理解した!」
こんな経験、ありませんか?
子どもが情報を受け取るとき、私たちはつい「聞いて理解している」と思いがちです。
でも実は、目から入る情報(視覚)を頼りにしている子もいれば、耳からの情報(聴覚)、体で感じる情報(身体感覚)を頼りにしている子もいます。
このように、どの感覚を使って世界を理解しているかには個人差があり、それを「感覚の優位性(ゆういせい)」といいます。
 
■ 感覚優位性とは?
人の脳は、目・耳・皮膚・筋肉・関節などからたくさんの情報を受け取り、それらを統合して「今、何が起きているか」を理解します。
しかし、すべての感覚を同じように使っているわけではありません。
たとえばある人は「見て覚える」タイプ、別の人は「聞いて理解する」タイプ──
それぞれ、脳が得意とする情報の入り口(感覚チャンネル)が違うのです。
これが、感覚の優位性(Dominant Sense)です。
感覚優位性は「得意な学び方」や「伝わりやすい方法」に直結します。
つまり、「この子はどうやって世界を理解しているのか?」を知ることで、
“わかる・できる”を引き出すサポートにつながるのです。
■ 感覚の種類とそれぞれの役割
感覚というと「五感」を思い浮かべる方が多いですが、実際にはもう少し幅広いのです。
ここでは、発達支援の現場で特に大切な感覚を紹介します。
🔹 視覚(Visual)
色・形・空間・位置などを見て判断する力。
見本を見たり、絵や図で理解するのが得意なタイプです。
🔹 聴覚(Auditory)
音や言葉、リズムを通して理解する力。
説明を聞いてイメージしたり、音読や会話で記憶するのが得意です。
🔹 触覚/体感覚(Kinesthetic)
体を動かすことで理解する力。
手で触る・動かしてみることで学ぶタイプで、実践的な活動で力を発揮します。
触覚(肌で感じる感覚)、前庭覚(バランス感覚)、固有感覚(筋肉・関節の感覚)は、
姿勢や動きのコントロール、安心感の土台となる感覚です。
これらの発達が安定していると、学びにも集中しやすくなります。
■ 優位性はどうやって決まるの?
感覚の優位性は、生まれつきの要素と、発達過程での経験の積み重ねの両方から形成されます。
赤ちゃんのころは「触る・動く」など体感覚中心の世界。
そこから少しずつ視覚・聴覚が発達し、脳が情報を整理する力を高めていきます。
しかし、成長の過程でどの感覚が使いやすいか、どれが苦手かには個人差があります。
たとえば──
- 見ることは得意でも、聞いた情報を覚えにくい
- 聞くのは得意だけど、図や表を見るのが苦手
- 動いて理解するのが好きで、じっとして聞くのは難しい
こうした傾向は「特性」であり、「良し悪し」ではありません。
感覚の使い方はその子の“脳の個性”なのです。
■ 感覚優位性を知ることで変わること
感覚優位性を理解すると、
「伝え方」「教え方」「支援の仕方」がぐっと変わります。
① 伝わらない理由がわかる
→ 「聞いても動けない」は、理解していないのではなく「聞くより見る方が得意」だからかもしれません。
② 子どもの成功体験が増える
→ 得意な感覚を活かすと、「わかった!」「できた!」の体験が増え、自信につながります。
③ 大人の関わり方が穏やかになる
→ 子どもを“叱る”より“伝え方を変える”視点になり、関係がスムーズになります。
■ 感覚は状況によって変わることもある
「うちの子は視覚優位だから、全部見せればOK!」というわけではありません。
感覚の使いやすさは、環境や疲れ、課題の内容によっても変化します。
たとえば、学校では聴覚的に理解しているけれど、
家庭では視覚的な手がかりがある方が落ち着く──というケースもあります。
そのため大切なのは、「どんなときに、どんな方法がわかりやすいか」を観察すること。
固定的にラベルを貼るのではなく、柔軟にサポートすることが大切です。
■ 感覚優位性は、子どもの“世界のとらえ方”を知るヒント
感覚優位性は、単なる学習スタイルではなく、
その子がどのように世界を感じ、理解し、行動しているかを映すものです。
大人がその感覚に寄り添うことで、
「この子はわかっていない」ではなく、
「この子はこうやって理解しているんだ」と見方が変わります。
それは、子どもの発達を支えるうえでとても大切な第一歩です。
すこっぴーラボでは、理学療法士の視点から、
子どもの発達や感覚の特性を踏まえた支援や学びの工夫を発信しています。
「うちの子の得意な感覚を知りたい」
「家庭での関わり方を見直したい」
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
無料相談も受付中です。
公式LINEも是非👇

 
  
  
  
  

コメント