子どもの「落ち着きのなさ」「姿勢の崩れ」「運動の苦手さ」や「集中力の低下」。
これらの背景には、感覚統合の発達が影響していることがあります。
感覚統合とは、私たちの脳が 視覚・聴覚・触覚・前庭覚・固有覚 など、複数の感覚情報を整理し、体や行動をうまくコントロールできるようにする働きです。
この記事では、その中でも特に発達支援の現場で重要視される3つの感覚──触覚・前庭覚・固有覚について、それぞれの役割と発達を促す遊び方、家庭でできる工夫をまとめました。
1. 感覚統合とは?
- アメリカの作業療法士 Ayers,A.J. によって提唱された理論
- 感覚情報を脳が効率的に処理・統合し、適切な行動や運動を引き出すプロセス
- 発達の土台として、学習・運動・社会性にも大きく関与
感覚統合が未熟な場合:
- 落ち着きがない
- 姿勢が崩れる
- 運動が苦手
- 集中力が続かない
- 感覚に過敏/鈍感
2. 3つの基礎感覚
① 触覚(皮膚感覚)
役割:皮膚を通して圧・温度・痛み・質感を感じる。安全感・安心感の基礎。
不足や偏り
過敏:服やタグ、軽いタッチを嫌がる
鈍感:強い刺激を求め続ける
発達を促す遊び
- 粘土やスライム遊び
- 砂場や泥遊び
- 手足での水遊び
👉 詳細はこちら →触覚は「安心感」と「学び」の入り口
② 前庭覚(バランス感覚)
役割:内耳の三半規管や前庭で、体の傾きや回転、動く速度を感じる。姿勢制御・空間認知の基盤。
不足や偏り
過敏:ブランコや高い場所が苦手
鈍感:激しい揺れや回転を求め続ける
発達を促す遊び:
- ブランコや滑り台
- ジャンプ遊び
- 回転椅子やでんぐり返し
👉 詳細はこちら → 前庭覚は「体のナビゲーションシステム」
③ 固有覚(体の位置・動きを感じる感覚)
役割:筋肉・腱・関節からの情報で、体の位置や力加減を把握する。姿勢安定や運動の精度に必須。
不足や偏り
力加減が苦手
姿勢が崩れやすい
運動スキル習得が遅い
発達を促す遊び:
- 綱引きや相撲ごっこ
- 鉄棒やうんてい
- 荷物運び
👉 詳細はこちら →固有覚は「体の位置と動きを知らせる感覚」
3. 感覚統合の発達とピラミッドモデル
発達は、感覚(触覚・前庭覚・固有覚)という土台 → 姿勢・バランス → 微細運動・学習能力 という順序で積み上がっていきます。
基礎感覚の発達が不十分だと、上位の学習や社会性にも影響が及びます。
例:
- 固有覚が弱い → 姿勢が安定しない → 書字が乱れる
- 前庭覚が未熟 → バランスが不安定 → スポーツ参加が消極的になる
4. 家庭でできる感覚統合サポート
- 毎日の遊びに全身運動を取り入れる
→ 公園遊び、鬼ごっこ、ジャンプ、登る・ぶら下がる遊び - 五感を満たす環境づくり
→ 触感遊び(粘土・水・砂)、バランス遊び(ブランコ・平均台) - 安心できる関わり
→ 感覚に過敏な子は少しずつ慣れる環境を整える - 体幹とバランスの基礎トレーニング
→ バランスボール、四つ這い運動、ゆっくりした押し合い遊び
まとめ
感覚統合は、運動だけでなく学習や社会性の発達にも深く関わっています。
触覚・前庭覚・固有覚は、その中でも特に土台となる感覚です。
家庭や学校でのちょっとした遊びや活動でも、感覚統合を促すことは可能です。
子どもの発達に合わせて、無理なく・楽しく・安全に感覚遊びを取り入れてみてください。
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