こんにちは。理学療法士のゆうだいです。
このブログでは、運動や感覚のことで「ちょっと育てにくいな…」と感じるお子さんの発達を、やさしく支える方法についてお伝えしています。
今回のテーマは、「感覚が敏感でこだわりが強い子」について。
実は、運動が苦手だったり、行動が極端に見える子の中には“感覚の敏感さ”や“感覚の未成熟”が背景にあることが多くあります。
親として「どう関わればいいの?」「この子、わがままなのかな?」と悩む前に、感覚の特性に目を向けてみませんか?
「感覚の敏感さ」ってどういうこと?
感覚には、「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」などの五感のほかに、
- 前庭感覚(バランスをとる力)
- 固有感覚(体の位置を感じる力)
など、身体の動きや姿勢と関係する感覚もあります。
この感覚が過敏だったり、逆に鈍感だったりすると、日常生活で困りごとが出てきやすくなるのです。
こんな子、いませんか?
- 音に敏感で、教室のざわざわやチャイムの音が苦手
- 洋服のタグが気になって着替えを嫌がる
- 特定のにおいや食感が苦手で食事に偏りがある
- 集団活動のあと、すぐ疲れてしまう
- なわとびやボール遊びなどの動きが苦手
こうした特徴があると、「わがまま」「落ち着きがない」「気難しい」と誤解されやすいですが、これは本人の“感じ方の違い”によるものです。
無理に慣れさせるのではなく、「工夫する」
感覚が過敏な子に「我慢して」「慣れなさい」と言っても、かえってストレスが大きくなります。
大切なのは“環境を工夫する”という発想です。
たとえば…
- 音に敏感な子には、静かなスペースやイヤーマフを用意する
- 触覚が鋭い子には、タグのない服や柔らかい素材を選ぶ
- 食感が苦手な子には、調理方法を変えて食べやすくする
- 集団で疲れやすい子には、1人で休める「安心スペース」を作る
こうした小さな配慮が、「自分らしくいられる」ことにつながります。
理学療法士の視点:運動との関係も深い
実は、感覚の敏感さと運動の苦手さは深く関係しています。
- 前庭感覚が未熟だと、回る・揺れるなどの動きが不快に感じる
- 固有感覚が弱いと、姿勢を保つのが難しく、すぐに疲れる
- 触覚のトラブルがあると、道具や人との関わりを避けがちに
だから、「ただ練習すれば上手くなる」というよりも、感覚の特性を理解して、それに合ったアプローチが大切です。
感覚統合についてはこちら
「感覚統合ピラミッド」とは?子どもの運動・落ち着き・集中力を伸ばす家庭ワーク集
ご家庭でできること
1. 子どもの「苦手」に共感する
「どうしてできないの?」ではなく、「そう感じてたんだね」と言葉をかけてみましょう。
2. 無理をさせず、ちょっとだけ挑戦
「今日はここまで頑張れたね」と、できたことに注目することが、次への自信になります。
3. 感覚を育てる遊びを取り入れる
- ゆらゆらブランコやバランスボール
- 粘土遊びや砂遊び
- 転がる、くぐる、跳ぶといった全身の動き
こうした遊びは、感覚の発達にも効果的です。
おわりに
「わがまま」「育てにくい」と感じていたことも、感覚の違いに気づくことで見え方が変わります。
そして何より、お子さん自身が「自分はダメじゃない」と思える環境づくりが、いちばんの支えになります。
理学療法士としての視点から、今後も感覚や運動の発達についてわかりやすくお伝えしていきます。
「うちの子、感覚が敏感かも?」と感じたら、まずはできるところから、少しずつ一緒に取り組んでみましょう。
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