「落ち着きがない」「集中が続かない」「姿勢がすぐ崩れてしまう」
こうした小学生の様子を見て、不安や戸惑いを感じる保護者の方は少なくありません。
これらの背景には、脳と感覚の未成熟による“身体の育ち”の課題がかかわっているケースがあります。
とはいえ、家でできる関わりや運動には限りがある…。
そこで、この記事では小学生(6〜12歳)向けに、家庭で実践しやすい運動療育を10種類まとめました。
親子で楽しみながら取り入れられるものばかりなので、ぜひ参考にしてください。
第1章 なぜ「運動療育」が小学生に効果的なのか?
① 感覚統合が促され、落ち着き・集中が育つ
感覚統合とは、視覚・聴覚・触覚・前庭覚(バランス)、固有受容覚(力加減)など、体の情報を脳で整理し、動作や姿勢に反映させる働きです。
小学生の生活でよく見られる
- 授業中にモゾモゾ動く
- じっと座っていられない
- 字が乱れる、姿勢が崩れる
こうした行動の一部は、体の感覚が安定していないことが原因になることがあります。
適度な運動刺激は、これらの感覚にバランスよく刺激を与え、
「落ち着く」「集中しやすい」「姿勢が保ちやすい」
といった状態をつくる助けになります。
② 親子の安心感・自己肯定感につながる
一緒に遊ぶことで、子どもは「受け入れられている」「認められている」という感覚を得やすくなります。
この心理的な安心感は、学習や行動面にも良い影響を与えます。
③ 生活リズム・学習効率の土台になる
体を動かすことで覚醒レベルが整い、
「朝の運動 → 集中して学習 → よく眠れる」
という良いサイクルがつくりやすくなります。
第2章 家庭でできる運動療育10選【小学生向け】
以下はすべて、家庭で特別な準備なく始められるものです。
目的(ねらい)を知っておくと、子どもに合わせた選択がしやすくなります。
1. クッションじゃんけん

やり方:クッションや畳んだバスタオルの上でじゃんけんをし、勝ったらジャンプ・負けたらしゃがむなど動作を加える。
ねらい:前庭覚(バランス)、反応の速さ、ルール理解
ポイント:不安定な足場が子どもの集中を自然に引き出します。
簡単にできる子ならバランスディスクの上で行うなどの難易度アップも良いですね。(バランスディスクを使う際はジャンプなどはケガに繋がる可能性があるので控えましょう)
2. 雑巾がけ競争
やり方:廊下で雑巾がけ。タイムを測るとやる気UP。
ねらい:固有受容覚(筋肉・関節)、体幹の安定、協調性
工夫:「お掃除遊び」にすることで習慣づけにも◎
体幹のトレーニングと家の掃除をできるので一石二鳥!!
3. ゆりかごの動き

やり方:床に仰向け → 両膝を抱える → そのまま前後にゆっくり揺れる。
ねらい:前庭覚(揺れの感覚)、体幹、リラックス
ポイント:揺れの刺激は覚醒調整にも役立ち、落ち着きにくい子にも有効な場合があります。
4. ペットボトルリレー
やり方:水入りペットボトルを両手で運んで競争。
ねらい:固有覚、姿勢制御、バランス
変化:階段を使うと負荷がアップ。
リレーのバトンをペットボトルにするイメージです。
5. タオル綱引き
やり方:フェイスタオルを使って軽い綱引き。
ねらい:筋力、力加減の調整、前庭覚
ポイント:力の強弱を体感できる。
6. ひっくり返し対決
やり方:床に置いた紙皿やコースターを、制限時間内に「裏返す/戻す」で対決。
(例:子どもは“表にする係”、親は“裏にする係”など)
ねらい:反応の速さ、空間認知、体のコントロール
ポイント:動きすぎずに手先・体幹の連動を使うので“落ち着いて動く”練習にもなります。
7. ゴロゴロ転がりリレー
やり方:マットや布団の上で体をまっすぐにして横方向にゴロゴロ。
ねらい:体幹、空間認知、回転刺激
楽しく:コースを作ると盛り上がる。
8. 壁逆立ちチャレンジ(サポート付き)
やり方:壁に足をつけ、腕で体を支える。10秒程度から。
ねらい:体幹、前庭覚、姿勢制御
注意:必ず大人の見守りを。
9. 前後左右ジャンプ
やり方:テープやタオルなどで十字マークを作り、指示に合わせて「前」「後」「右」「左」へジャンプ。
ねらい:敏捷性、方向転換、注意力
ポイント:指示出しをランダムにすると、聴覚→動作の切替の練習になる。
10. おすもうごっこ
やり方:軽く押し合う簡単な相撲遊び。
ねらい:筋力、触覚、社会性(勝ち負けの理解)
ポイント:強くやりすぎない範囲を事前に伝えると良い。
第3章 どの遊びが合う?特徴別チェック表
| 子どもの特徴 | おすすめ運動 | 目的(ねらい) |
|---|---|---|
| 姿勢が崩れやすい | 雑巾がけ、壁逆立ち、前後左右ジャンプ | 体幹・前庭覚 |
| 落ち着きがない | タオル綱引き、ペットボトル運び | 固有覚・バランス |
| 注意が散漫 | クッションじゃんけん、ひっくり返し | 注意の焦点化 |
| 不器用 | クッションじゃんけん、おすおう | 動きの調整 |
第4章 おうち療育のポイント(効果を上げるコツ)
●毎日3分でもOK。継続が一番の力
短時間でいいので「毎日続けること」が感覚統合の刺激として意味があります。
●「できた」より「楽しかった」を大事に
成功体験はもちろん大切ですが、「一緒に笑った時間」そのものが自己肯定感を育てます。
●失敗してもOKの雰囲気づくり
「またやってみよう」と思える環境が、子どもの挑戦心と発達を後押しします。
第5章 自宅療育がもっと効果的になるアイテム紹介
以下は発達支援で特に使用されることが多く、家庭でも使いやすいものです。
●バランスディスク
・足元が不安定になり前庭覚・体幹の刺激に最適
・片足立ちやじゃんけんゲームと相性◎
●クッションマット
・転がる遊びや回転刺激の安全性がUP
・リビングに敷いても使いやすい
●軽めの子ども用ダンベル or 500mlペットボトル
・固有受容覚刺激を手軽に増やせる
・雑巾がけや運搬遊びとセットで
第6章 専門家に相談したい場合の選択肢
「姿勢が気になる」「落ち着きのなさが続く」「学習に入りづらい」
こうした悩みが続くときは、専門職によるアセスメントが役立つことがあります。
放課後デイサービスやオンラインでの専門家の指導が家での支援のサポートにも繋がる可能性があるため検討してみても良いかもしれませんね。
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まとめ
家庭の中でできる小さな運動遊びは、
脳・心・体の成長を支える強力なツールです。
落ち着きのなさ、ぎこちなさ、学習への入りづらさといった困りごとの背景には、体と感覚の未成熟が関わることがあります。
ぜひ、親子で楽しみながらできる運動を日常に取り入れてみてください。
ぜひ、ご家庭で「親子の時間×発達支援」を楽しんでみてください!
次回は中学生編!!


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