【理学療法士が解説】悪天候で体調を崩す子どもたち──その原因と家庭でできる対策とは?

学校

「雨が降ると頭が痛い」「季節の変わり目になると朝起きられない」
そんなお子さんの様子に心配されたことはありませんか?

実は、こうした体調不良の背景には「自律神経の未熟さ」と「気象の変化」が深く関わっています

この記事では、小中学生に多く見られる気象や季節変化による体調不良の原因と、理学療法士の視点からできる対策について、わかりやすく解説します。


子どもの自律神経はまだ“未熟”なんです

自律神経は、心拍・呼吸・体温調節などを無意識にコントロールしている神経で、「交感神経(活動モード)」と「副交感神経(お休みモード)」のバランスで成り立っています

この自律神経は、構造的には5歳頃までにほぼ完成するといわれていますが、思春期に差し掛かる小学生~中学生では、身体の急成長に対して自律神経の機能が追いつかず、不安定になりがちです。

特に見られるのが「起立性調節障害」と呼ばれる状態。朝、交感神経のスイッチがうまく入らず、立ちくらみ・頭痛・倦怠感などを訴えるお子さんが増えています。

また、現代の子どもたちはスマホやゲームの影響で夜更かしが増え、副交感神経の働く時間が短くなり、身体を“回復モード”に切り替える力が弱くなっているという点も見逃せません。


なぜ悪天候で体調を崩すの?

「雨が降ると調子が悪くなる」「台風前後は頭が痛くなる」というのは、気のせいではありません。こうした症状は「気象病」や「天気痛」とも呼ばれ、自律神経のバランスが崩れることで起こります。

ポイントは、気圧や湿度、気温の急変に身体がうまく対応できていないことです。

  • 気圧の変化
    内耳にある“気圧センサー”が気圧の低下を感じ取ると、交感神経が過剰に刺激され、頭痛やだるさ、吐き気などが起こります。
  • 湿度の変化
    湿度が高いと汗がかきにくくなり、体温調節に負担がかかって体調を崩しやすくなります。
  • 気温の上下差
    朝晩の寒暖差や、季節の変わり目の気温変化は、自律神経にとって大きなストレス。めまいや動悸などの不調が出やすくなります。

特に春や秋の季節の変わり目は、気温・日照・湿度に加えて学校行事などのストレスも重なり、体調を崩しやすい時期です。


自律神経が乱れるとどうなる?

ストレスや気候変動で交感神経ばかりが優位になると、次のような症状が出やすくなります。

  • 朝なかなか起きられない
  • 頭痛・めまい・倦怠感
  • 食欲不振
  • 腹痛や吐き気
  • 集中力の低下、イライラ感

小中学生はストレスへの対処能力もまだ未熟。大人なら流せるようなことでも強く影響を受け、自律神経のバランスを崩してしまいます。


家庭でできるセルフケアと環境調整

自律神経を整えるには、毎日の生活習慣がとても大切です。

✔ 早寝早起きと朝食

同じ時間に寝起きすることで体内時計が整い、自律神経も安定します。朝日を浴びることでセロトニン(精神を安定させる神経伝達物質)の分泌も促されます。

✔ 栄養と水分・塩分補給

水分不足は血流を悪くし、めまいや立ちくらみを悪化させます。目安は1.5L/日以上。汗で塩分も失われるため、必要に応じて塩分も補いましょう。

✔ 快適な室内環境

温度や湿度の管理も大切です。急な寒暖差に備え、衣服でこまめに調整できるようにしましょう。空気清浄機や加湿器も役立ちます。

✔ ストレスの軽減

勉強や習い事が負担になっていないかを見直すことも必要です。子どもの“ちょっとした不調”に耳を傾け、早めのケアを心がけましょう。


運動で自律神経は整います!~理学療法士の視点から~

自律神経の調整には、毎日の“軽い運動習慣”がとても効果的です。

たとえば…

  • 毎日の30分の散歩や自転車
  • 水泳や水中歩行(体への負担が少ない)
  • 室内でのストレッチや体操

こうした運動は血流を促し、交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズにしてくれます。集中力や睡眠の質も改善され、ストレス対策にも◎。

💡運動のポイント

  • 暑い日は無理に外で動かず、室内運動やプールなどを活用
  • 朝より午後のほうが体が目覚めており、無理なく運動できる
  • 水分・塩分補給をこまめに

また、理学療法士は「姿勢の崩れ」や「動作の偏り」から、自律神経の乱れを読み取ることもできます。立ちくらみがある子には、朝起きたときの姿勢や、深呼吸の練習、血圧測定の指導なども行います。


まとめ:子どもの“ちょっとした不調”を見逃さないで

子どもが悪天候や季節の変わり目に体調を崩しやすいのは、「気のせい」ではなく、まだ自律神経のバランスが不安定だからです。

  • 「睡眠不足」
  • 「ストレス」
  • 「気象変化への対応力の弱さ」

こうした要因が重なることで、体調を崩しやすくなってしまいます。

でも、生活習慣の見直しや、無理のない運動、家庭での環境調整で少しずつ自律神経は整っていきます。

もしお子さんの体調不良が続くようであれば、一度、理学療法士などの専門家に相談してみるのもおすすめです。正しいケアで、気象や季節に負けない元気な毎日を取り戻しましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました