「授業中、すぐに姿勢が崩れて、椅子の上でモゾモゾしてしまう」「何もないところで転んだり、動きがぎこちなかったりする」「集団での運動が苦手で、最近、自信がなさそうに見える……」
お子さんのそんな姿を見て、「もっと体幹を鍛えたほうがいいのかな?」「それとも、どこか専門の療育に通わせたほうがいいのかも」と悩んでいませんか?
実は、小学生の姿勢の崩れや不器用さの背景には、単なる筋力不足だけでなく、脳に伝わる「感覚」の発達が深く関係しています。
土台となる感覚が整っていない状態で、無理に「正しい姿勢」を求めても、子どもはすぐに疲れてしまい、逆効果になることもあります。
こんにちは、理学療法士のゆうだいです。
今まで「身体の土台作り」を支援してきた経験から、ご家庭で無理なく、かつ専門的にできる発達サポートをこの記事にまとめました。
ただの遊び紹介ではありません。
「なぜその動きが必要か」「プロはどこを見ているか」まで踏み込んだ、完全ガイドです。

なぜ「運動遊び」が、姿勢や学習につながるのか?

「体幹」と聞くと、腹筋運動のようなトレーニングを想像しがちですが、小学生の発達で本当に大切なのは、「自分の体が今どうなっているかを、脳が正確に感じ取れること」です。
発達の土台は「感覚」
発達には順序があります。
私たちが「発達のピラミッド」と呼ぶ考え方では、土台となるのは以下のような感覚です。
- 前庭覚(ぜんていかく): 揺れ・傾き・スピードを感じ、バランスを保つ
- 固有受容覚(こゆうじゅようかく): 関節や筋肉の曲がり具合、力加減を感じる
- 触覚: 触れた感覚から、物の形や「自分と外の境界線」を知る
この土台が不安定だと、その上にある「姿勢を保つ」「動きをコントロールする」「集中する」といった力も安定しません。今回紹介する遊びは、この感覚の土台に直接アプローチするものです。
【お悩み別】うちの子にはどの遊びが必要?クイック診断
「何から始めればいい?」と迷ったら、お子さんの普段の様子から逆算して選んでみてください。
| お子さんの気になる様子 | おすすめの遊び(番号) | 期待できる効果 |
| 椅子に座っていられず、体がふにゃふにゃする | ①、③、⑥ | 体幹の支持力、姿勢保持 |
| 字が枠からはみ出す、筆圧が安定しない | ①、②、⑧ | 肩周りの安定、ボディイメージ |
| よく転ぶ、平均台や片足立ちが苦手 | ④、⑤ | バランス感覚(前庭覚) |
| 力加減が苦手、動きがロボットのように硬い | ⑦、⑧ | 固有受容覚、ボディイメージ |
【目的別】お家でできる療育運動遊び 8選
体幹・支持力を育てる(重力に負けない体へ)
① くまさん歩き

四つん這いになり、膝を床から浮かせて歩きます。
- PTの視点: 自分の体重を腕で支える経験は、肩周りの安定を育てます。これが、将来の「書字」の安定(疲れにくさ)に直結します。
- 【PTチェック!】 お尻が下がっていませんか?お尻を高く上げると、より背中の筋肉が使われます。

ゆうだい
難しい場合は、短い距離(1メートル)からでOK。
慣れたら「くまさんバック(後ろ歩き)」に挑戦すると難易度が上がります。
②雑巾がけレース

床を雑巾がけしながら前に進みます。
- PTの視点: 腕で支え、足で強く蹴るという「全身の協調」を学べます。股関節の柔軟性も高まります。
- 【PTチェック!】 勢い余って頭をぶつけないよう、進む先に障害物がないか確認してください。

ゆうだい
雑巾の上にぬいぐるみをおいて「落とさないように運ぶ」というルールにすると、スピードのコントロール(力加減)の練習になります。
③クモ歩き(逆さ四つん這い)

お腹を上にして、手足で体を支えながら歩きます。
- PTの視点: 普段使われにくいお腹側の筋肉や二の腕を刺激します。猫背の改善に有効です。
- 【PTチェック!】 お尻が床に付かないようにキープできているか見てあげてください。

ゆうだい
お腹の上にクッションをのせて、落とさずに歩けるかゲームにしてみると難易度アップ!!
バランス・平衡感覚を育てる(フラつきを抑える)
④ポーズ遊び

片足立ちや、わざと体を斜めに傾けた状態でピタッと止まります。
- PTの視点: 倒れそうになる瞬間、脳の「前庭覚」がフル回転して姿勢を立て直そうとします。
- 【PTチェック!】 「息を止めていないか」を確認。息を止めるのは、力技で固めている証拠。リラックスして止まるのが理想です。

ゆうだい
余裕があれば、目を閉じて3秒キープ。視覚を遮ることで、より「感覚」が研ぎ澄まされます。
⑤ゴロゴロ丸太転がり

腕を真っ直ぐ上に伸ばす もしくわ むねの前でクロスした状態で床の上を横に回転します。
- PTの視点: 自分の体の中心線(正中線)を意識する力を養います。まっすぐ転がれないのは、左右の感覚の統合がまだ未熟なサインかもしれません。
- 【PTチェック!】 手足がバラバラにならないよう、棒になったつもりで転がります。

ゆうだい
余裕があれば目を閉じてやってみよう!!
ボディイメージを高める(不器用さを解消する)
⑥うつ伏せ飛行機

うつ伏せで両手・両足を浮かせてキープします。
- PTの視点: 姿勢をシャキッと保つための「背筋(伸筋群)」を最も効率よく刺激できます。
- 【PTチェック!】 肩に力が入りすぎて首がすくんでいないか注意。首を長く保つイメージです。

ゆうだい
10秒キープができたら、大人が横からうちわで仰いで「嵐に耐える飛行機だ!」と遊びの要素を加えてみましょう。
⑦カエルジャンプ

深くしゃがんだ状態から、両手・両足の順で大きく前にジャンプします。
- PTの視点: 着地した時の「ドン」という刺激が、関節のセンサー(固有受容覚)を活性化させます。

ゆうだい
ドスンと大きな音で着地するのではなく、優しく着地する練習も入れると、力のコントロールが身につきます。
⑧まねっこ鏡遊び

大人がとったポーズを、お子さんが鏡になったつもりで真似します。
- PTの視点: 「目で見た情報を、自分の体の動きに変換する」という高度な機能を育てます。
- 【PTチェック!】 最初はゆっくりとした動きから。左右が逆になっても、まずは「形が似ている」ことをしっかり褒めてください。
運動遊びを「長続き」させるための3つのポイント
専門的な遊びも、お子さんが「やらされている」と感じたら効果は半減します。
- 「できた」を見える化する:
カレンダーにシールを貼ったり、スマホで動画を撮って「前よりお尻が上がってるね!」と本人に見せてあげてください。 - 大人も一緒に楽しむ:
遊びの中で大笑いすることが、脳にとって一番の報酬です。 - スモールステップで:
今日は10秒。明日は11秒。それだけで、お子さんの脳は確実に変化しています。
まとめ|今日できることは、たった一つでいい
小学生の運動発達は、姿勢・集中・そして「自分はできる」という自信の土台になります。
今日、この記事を読んだあなたにやってほしいことは、たった一つです。
リビングで、お子さんと一緒に「くまさん歩き」を10秒だけやってみてください。
それだけで、お子さんの体と脳には、明日を支える大切な刺激が入ります。
「できるようにさせる」よりも、「動くって楽しい!」を増やすこと。
それが、姿勢も学習も支える一番の近道です。
理学療法士から最後に
子どもの発達には個人差があります。他の子と比べる必要は全くありません。
昨日のお子さんより、少しでも「楽しい」が増えたか。その小さな一歩を、一緒に大切にしていきましょう。
もし、「家だけで続けるのは不安」「もっと専門的なメニューを組んでほしい」と感じる場合は、オンラインでプロが伴走する『へやすぽアシスト』のようなサービスも心強い味方になります。
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