「最近、子どもの姿勢が気になる…」
勉強中やタブレットを見ているときに背中が丸まっていたり、椅子に寄りかかって座っている姿を見ると、「大丈夫かな?」と心配になる方も多いでしょう。
実は、姿勢の悪さは“筋力が弱いから”という単純な問題だけではありません。
体を支える力のほかに、「体の位置を感じる感覚」や「バランスの取り方」といった“身体の使い方”の発達とも深く関係しています。
この記事では理学療法士の立場から、
- 子どもの姿勢が悪くなる原因
- 家庭でできる姿勢改善の工夫
をわかりやすく解説します。
お子さんの姿勢を“正す”のではなく、“育てる”視点で一緒に見直していきましょう。

子どもの姿勢が悪くなる3つの主な原因

姿勢が悪くなる背景には、いくつかの要因が重なっています。
ここでは代表的な3つを紹介します。
① 体幹や背筋の筋力不足
現代の子どもたちは、昔と比べて体を動かす機会が減り、座って過ごす時間が増えています。
その結果、背骨を支える体幹筋や、姿勢を長時間保つための抗重力筋が十分に育っていないことがあります。
体幹が弱いと、背中を伸ばすよりも「楽な姿勢(猫背・片寄り)」を取りやすくなり、自然と背中が丸く見えます。
特に小学校低学年の頃は、筋持久力が未発達なため、少しの疲れでも姿勢が崩れやすいのです。
💡ポイント:
“姿勢を保てる筋力”と“動かせる筋力”は別物
子どもは動かす力(ダッシュ・ジャンプ)は強くても、じっと保つ力が足りないことが多いです。
② 感覚統合(身体の感じ方)の未熟さ
姿勢をコントロールするには、自分の体がどこにあるかを感じる力(固有感覚)や、重力に対してバランスを取る力(前庭感覚)が欠かせません。
これらがうまく働かないと、無意識のうちに体が傾いていたり、まっすぐ座っている感覚がつかみにくくなります。
- 椅子に座っても体が左右に傾く
- 立っているときに足裏のどこに体重がかかっているかわからない
こうした状態では、どれだけ「姿勢を正して」と言われても、本人は“どうすればいいか分からない”のです。
💡補足:
感覚統合の未熟さは「怠けている」のではなく、まだ身体の地図が発達途中なだけ。
遊びや運動を通して、感じ方を育てていくことが大切です。
③ 生活環境(机・椅子・デバイス姿勢など)
最後に見落とされがちなのが「環境の影響」です。
机や椅子の高さが体に合っていなかったり、長時間スマホやタブレットを見ることで頭が前に出る姿勢(ストレートネック姿勢)が習慣化しているケースもあります。
特に椅子が高すぎて足がぶらぶらしていると、骨盤が後ろに倒れ、自然と猫背姿勢になります。
また、机が低すぎると肘が下がり、背中を丸めざるを得ません。
💡チェックポイント:
- 足裏がしっかり床につく高さか
- 肘が机とほぼ同じ高さになっているか
- 視線がやや下に向く程度で画面やノートを見られるか
これらを整えるだけでも、姿勢の安定感が大きく変わります。
家庭でできる姿勢改善の3つのアプローチ
ここからは、家庭でもできる“無理のない姿勢改善”の方法を紹介します。
特別な道具やトレーニングは必要ありません。
「遊びながら」「意識を変えながら」姿勢を整えることができます。
① バランス感覚を育てる遊び
感覚統合の発達には、「バランスをとる経験」が欠かせません。
おすすめは次のような遊びです。
- ケンケンパ
- 片足立ちチャレンジ(何秒できるか)
- クッションや布団の上で歩く
- 平均台ごっこ(線の上を歩くなど)
こうした遊びは、体幹の安定だけでなく、体の位置を感じる感覚(固有感覚)を自然に刺激します。
遊びの延長で行えるので、子どもも楽しみながら取り組めます。
バランス遊びグッツに関してはまとめた記事があるので参考にしてみてください。
専門家が選ぶ!子どものバランス感覚を育てる体幹トレーニングおもちゃ5選【家庭でできる】
② 体幹を安定させる簡単トレーニング
筋トレというより、「動きながら支える練習」を意識しましょう。
おすすめのメニューを紹介します。
- 四つ這いで手足を交互に上げる(バードドッグ)
→ 体幹の安定とバランス調整力を育てます。 - ブリッジ(仰向けでお尻を上げる)
→ 骨盤と背骨を支える筋肉を刺激。 - プランク(うつ伏せで肘とつま先で体を支える)
→ 姿勢保持筋の基礎を育てます。
短時間(10〜20秒)でもOK。
毎日少しずつ続けることで、「支える力」が確実に育っていきます。
③ 環境を整える:椅子・机・視線の高さをチェック
姿勢の崩れを防ぐには、筋力よりも環境の調整が即効性があります。
- 椅子に座ったとき、足裏が床につく高さか
- 背もたれに背中を預けなくても座れるか
- 視線の高さに合わせて、本や画面を10〜15cm持ち上げる
簡単な工夫として、足台を置いたり、クッションで高さを調整するだけでも姿勢保持がしやすくなります。
姿勢を“無理に正す”のは逆効果?
「背筋を伸ばしなさい」「もっとまっすぐ座って!」
つい言いたくなりますが、実はこの声かけは逆効果になることもあります。
なぜなら、“どう伸ばせばいいか分からない”子どもにとってはプレッシャーになるからです。
無理に力を入れると、肩や首に余計な緊張が入り、長く続きません。
大切なのは、「正しい姿勢を取ること」よりも「正しい姿勢が楽に保てる体を育てること」。
そのためには、遊び・感覚・環境の3つを通して“自然に姿勢が整う”体づくりを目指しましょう。
こんな場合は専門家に相談を
次のような様子が見られる場合は、専門的な評価を受けることをおすすめします。
- 常に頭や肩が片側に傾いている
- 長時間座っていられない・すぐに崩れる
- 転びやすい、疲れやすい
- 注意力や集中力の低下が見られる
姿勢の崩れの背景に、筋緊張や感覚発達の偏りがあることもあります。
理学療法士や発達支援センターでの相談も選択肢の一つです。
まとめ “感じ方”を育てることが姿勢改善の第一歩
子どもの姿勢が悪くなる原因は、単なる筋力不足だけではなく、
「感覚の育ち」と「生活環境」に深く関わっています。
姿勢を直すには、
- 遊びを通して感じ方とバランス感覚を育てる
- 体幹を鍛えて支える力をつける
- 生活環境を整えて、正しい姿勢を取りやすくする
この3つを意識することがポイントです。
無理に“正す”よりも、“自然に整う”体を育てていく。
それが、長く続く姿勢づくりの秘訣です。



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