「聴覚過敏」と子どもの学校生活 続編──体育・給食・移動時間でできる工夫

不適合

前回の記事では「授業中」に焦点をあて、聴覚過敏を持つお子さんが安心して学びに集中できる工夫をご紹介しました。
今回はその続編として、体育・給食・移動時間など、音が大きくなりやすい学校生活のシーン別に困りやすいポイントとサポートの工夫を解説します。

「うちの子は体育が苦手」「給食の時間に落ち着かない」といったお悩みをお持ちの保護者や先生にとって、具体的なヒントになる内容です。

※本記事は医療的診断を行うものではありません。ADHDやASDの正式な診断は医師にご相談ください。ここでは、ご家庭や学校で役立つ工夫や考え方の一例を紹介しています。


体育の時間に困りやすいことと工夫

困りやすい場面

  • 体育館で声や足音が響いて頭が痛くなる
  • ホイッスルやボールのぶつかる音に驚いて動けなくなる
  • 大人数での活動でざわざわが重なる

工夫できること

  • ホイッスルの代わりに視覚合図(旗や手の合図)を取り入れる
  • 体育館だけでなく、屋外や小グループでの活動を活用する
  • 苦手な音が出る活動では、役割を変える(記録係・準備係など)ことで参加の仕方を調整する

運動療育の視点から

体育は「音が苦手」で終わらせるのではなく、体を動かす楽しさを知る時間にできると良いです。

  • リズム運動(音楽に合わせてジャンプやスキップ)で、音に合わせて体を動かす練習
  • ボール運動でも「静かに転がす」「ゆっくりキャッチ」など、音が少ないやり方から段階的に慣れていく

給食の時間に困りやすいことと工夫

困りやすい場面

  • 食器が当たる音が耳に響いて食欲がなくなる
  • 友だちの話し声や笑い声が重なって不安になる
  • 教室や食堂の反響音がつらい

工夫できること

  • 食器にシリコンカバーをつける(可能であれば)
  • クラスの一角に静かな席を設けて選べるようにする
  • 苦手な音が強い日は、少人数で先に食べるなど柔軟に対応する

運動療育の視点から

食事前に「体をほぐす運動」を入れると、リラックスしやすくなります。

  • 給食前に「手をぎゅっとにぎってパッと開く」「深呼吸」などのリセット運動
  • 家庭でも「ごはんの前の運動習慣」を取り入れると、学校でも実践しやすくなる

移動時間(登下校・教室移動)に困りやすいことと工夫

困りやすい場面

  • 階段や廊下で友だちの足音が響く
  • 下校時の校内放送やチャイムに驚く
  • 大勢で一斉に移動するざわざわに疲れる

工夫できること

  • 少し早めに移動を開始して混雑を避ける
  • イヤーマフやイヤホンを活用して「必要なときだけ防御」
  • 廊下や階段では、先生や友だちと「ペアで移動」することで安心感を持たせる

運動療育の視点から

移動時間は「歩く」「姿勢を保つ」といった動作の積み重ねでもあります

  • 階段の上り下りを「リズムよく行う」練習を遊びに取り入れる
  • 廊下歩行を家庭でシミュレーションして「静かに歩く練習」をする

周囲の理解を広げることが大切

体育・給食・移動時間はいずれも「音の多い場面」であり、本人の努力だけで乗り越えるのは難しいことです。
だからこそ、先生や友だちが「なぜ困っているのか」を理解し、工夫を一緒に考える姿勢が大切です。

必要に応じて、ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓を使うのも必要な支援かと思います。


まとめ

学校生活には「音が強い場面」がたくさんありますが、工夫やサポート次第でお子さんの安心感は大きく変わります。
体育では「静かな動きから段階的に慣れる」、給食では「静かな席を確保する」、移動時間では「混雑を避ける」といった工夫が有効です。

さらに、運動療育の観点からは「体を使ってリラックスする習慣」を身につけることで、音の刺激に対する耐性が少しずつ育っていきます。


「体育の時間に参加できない」「給食の音でつらそう」「移動が苦手で遅れてしまう」などのお悩みがある方は、ぜひ無料相談をご利用ください。
LINEやオンライン面談で、お子さんの困りごとを整理しながら、サポートの第一歩をお手伝いします。

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