近年、子どもたちの体力低下が社会的な課題となっています。特に運動嫌いな子は、運動機会が少なくなることで体力や運動スキルの発達に影響が出ることもあります。
しかし、運動嫌いの根底には「苦手だから避けたい」「失敗するのが怖い」といった心理的な要因も大きいのです。理学療法士の視点から見ると、運動嫌いな子どもには以下のような特徴が多く見られます。
- 基本的な運動スキル(走る・投げる・ジャンプなど)が未熟
 - 感覚統合の難しさ(体の位置感覚やボールへの反応が苦手)
 - 体力や筋力の弱さによる疲れやすさ
 - 過去の失敗体験や競争がストレスになっている
 
つまり、「楽しく」「安心して」体を動かせる工夫が必要です。
そこで今回は、遊び感覚でできる運動療育のアイディアを、鬼ごっこ・ボール遊び・体操をもとに紹介します。さらに、年齢別の工夫も付け加えますので、ぜひお子さんに合わせて取り入れてみてください。
1. 鬼ごっこを「ゲーム化」する工夫
鬼ごっこの発達的メリット
鬼ごっこは一見ただの遊びですが、発達学的には非常に多くの要素を含みます。
- 敏捷性(アジリティ):走る・止まる・方向転換を繰り返す
 - 空間認知:鬼や友達の位置を把握しながら動く
 - 社会性:ルールを守る、役割を理解する
 
工夫のポイント
- 役割を選べるようにする
 - 小さなエリアで行う
 - ルールを変えて楽しさを演出
 
遊び方の具体例
- 風船鬼ごっこ:鬼は風船でタッチ
 - 色タッチ鬼ごっこ:逃げながら先生が「赤!」と指示 → 赤いマットにタッチでセーフ
 - 忍者鬼ごっこ:走るのではなく「しゃがみ歩き」「ケンケン」で移動
 
2. ボール遊びを「挑戦ゲーム」にする工夫
ボール遊びの発達的メリット
- 「投げる」「受ける」「蹴る」など操作的スキルの基盤を育てる
 - 将来の運動習慣や体力の発達に直結
 
工夫のポイント
- 柔らかい素材のボールを使う
 - 成功体験を作る
 - ゲーム性を加える
 
遊び方の具体例
- 的あてチャレンジ:コーンやペットボトルを倒す
 - 転がしボーリング:小さな成功体験を得やすい
 - 協力キャッチ:「3回続けよう」と仲間と挑戦
 
3. 体操を「物語風」にする工夫
体操の発達的メリット
- 「柔軟性」「姿勢保持」「リズム感」の基盤を整える
 - 感覚統合にも有効
 
工夫のポイント
- イメージを使う
 - 短い動きをつなげる
 - 音楽やリズムを活用
 
遊び方の具体例
- 動物体操:ゾウ→カエル→ネコになりきり
 - 冒険体操:「山を登る」「川をジャンプ」など
 - ヒーローポーズ体操:最後に決めポーズ!
 
4. 発達段階別の工夫ポイント
① 未就学児(3~6歳)
- 鬼ごっこ → 「忍者鬼」「動物鬼」など、なりきり重視
 - ボール遊び → 風船・大きなボールで安心感
 - 体操 → ごっこ遊び仕立てで楽しく
 
👉 ポイント:「できた!」をたくさん積み重ねる
② 小学校低学年(6~9歳)
- 鬼ごっこ → 「色指定鬼ごっこ」「宝探し鬼」で認知+運動
 - ボール遊び → 得点制で「協力達成」を楽しむ
 - 体操 → 音楽やリズムを取り入れポーズで締める
 
👉 ポイント:「協力」と「挑戦」で自信を育てる
③ 小学校中学年以上(9~12歳)
- 鬼ごっこ → 「条件付き(ケンケン・スキップ)」+作戦タイム
 - ボール遊び → 「ボール送りリレー」「自己ベスト更新方式」
 - 体操 → 「ストレッチ+チャレンジ要素」で達成感
 
👉 ポイント:「自分の工夫や努力でできた」実感を大切に
まとめ:年齢に応じて「楽しく・できる」工夫を
運動嫌いな子どもに共通して大切なのは、「無理にやらせないこと」と「成功体験を積み重ねること」です。
- 未就学児 → 「まねっこ」「ごっこ」で楽しく
 - 小学校低学年 → 「協力」「挑戦」で自信を育む
 - 小学校中学年以上 → 「工夫」「努力の成果」で達成感を実感
 
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