はじめまして!
理学療法士の ゆうだい です。
このブログでは、運動がちょっと苦手なお子さんのために、「感覚統合」や「体づくり」など、専門的な知識をやさしく解説しています。
今回は、「運動ってなぜそんなに大事なの?」というテーマに迫ります。
遊びや運動は、ただのエネルギー発散ではなく、心・身体・脳の発達に深く関わる“学びの基盤”なんです。
結論:運動は、子どもの“育ち”すべてに関係している
最近では「非認知能力(集中力・自己調整力・社会性など)」の重要性がよく言われるようになりました。
実はこれらの力は、乳幼児期からの運動経験や身体活動の積み重ねによって育まれる部分が大きいと言われています。
【1】身体的な効果:姿勢・筋力・バランスを育てる
運動は、筋肉や関節の働きを高め、姿勢を支える土台をつくります。
特に幼児期〜小学校低学年では、遊びの中で
- バランスを取る力(前庭感覚)
- 自分の身体の位置を感じる力(固有感覚)
- 動きを思い通りにコントロールする力(運動計画)
などが育まれていきます。
これらは、単に運動能力の話だけではなく、集中して座る・書く・話を聞くといった学習行動にもつながっていきます。
ハイハイする期間が極端に長かった・短かった場合は育ちにくい特徴があります。
【2】精神的な効果:ストレス発散と情緒の安定
運動することで、脳内にセロトニンやエンドルフィンといった“幸せホルモン”が分泌され、情緒が安定しやすくなります。
みなさんも久しぶりに身体を動かした後に「気持ちいいな」と感じたことはありませんか?
運動による効果は子供から高齢者に至るまで、どんな人にも精神的な効果があるといわれています。
これは、イライラしやすい子や不安が強い子にも効果的。
また、運動には達成感があり、自己肯定感や「できた!」という喜びも味わえます。
これは、学校生活で「自信がない」「劣等感を抱えやすい」子にとって、とても大切な経験です。
【3】学習面への影響:脳を活性化し“考える力”も伸ばす
運動をすると、脳の前頭葉や小脳、海馬が活発に働くことが研究でも分かっています。
特に、次のような能力が刺激されます:
- 注意力・集中力
- 計画的に行動する力
- ワーキングメモリ(作業記憶)
- 空間認識・手先の器用さ
これらはまさに、学習や日常生活で必要とされる力です。
「運動が得意=勉強もできる」ということではありませんが、動ける体が学びのベースをつくるのは間違いありません。
【4】社会性の発達:ルール・協調性・相手を思いやる気持ち
運動あそびやスポーツには、「順番を守る」「相手の動きを見る」「チームで協力する」といった、人と関わる力が自然と必要になります。
これは、ADHD傾向やASD傾向のあるお子さんにとって、実体験として社会性を学ぶ場にもなります。
遊びの中でケンカをしたり、助け合ったりすることは、“人と関わる練習”の一部でもあります。
家庭でできる、かんたん運動のすすめ
✔ トランポリンやバランスボールを使った遊び
✔ おうちかくれんぼや雑巾がけレース
✔ 登園前・登校前に5分のストレッチやジャンプ体操
✔ 夕方のお散歩で、外の刺激を感じる
大切なのは「特別な運動をさせる」ことではなく、日常の中で楽しく体を動かす習慣をつけることです。
おわりに:運動=学びと生きる力の“原点”
「運動=体育の成績」ではなく、
運動=心と体の自己調整力を育てる基礎です。
もしお子さんが運動を苦手にしているなら、
それは本人のやる気や性格ではなく、感覚や体の使い方に理由があるかもしれません。
無理にやらせるのではなく、まずは「できた!」「楽しかった!」という成功体験を積み上げることから始めてみてください。
理学療法士として、そういった子どもたちの“最初の一歩”を支えていけたらと思っています。
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