ゲームやスマホが身近になり、子どもたちの遊び方が大きく変わってきました。
「昔はもっと外で遊んでいたのに…」と感じる方も多いのではないでしょうか?
実は、遊びの中には発達にとって大切な“しかけ”がたくさん隠されています。
この記事では、昔の遊びと現代の遊びの違いにフォーカスしながら、身体や感覚の発達にどんな影響があるのか、理学療法士の視点でわかりやすく解説します。
昔の遊びとは?:身体をフルに使う“原体験”
昔ながらの遊びといえば、こんなものが挙げられます。
- 鬼ごっこ・かくれんぼ
- 木登り
- 竹馬・缶けり
- 縄跳び・ゴム跳び
- 川遊び・虫取り
これらの遊びに共通するのは、広い空間で体全体を動かすことと、即時的な判断力やバランス能力を使うことです。
理学療法士として注目したいのは以下の点:
- 前庭覚(バランス・重力に対する反応)
- 固有覚(関節や筋肉の位置情報)
- 視空間認知(空間の中で自分や物の位置関係を把握)
- 協調運動(体の各部をスムーズに連携させる)
これらは、走る・登る・飛ぶ・ぶら下がるといった動作の中で自然に刺激され、神経系の発達や運動スキルの土台になります。
現代の遊びとは?:便利で手軽、だけど…
一方で、現代の子どもたちの遊びは以下のようなものが主流です。
- スマホ・タブレットゲーム
- テレビ・YouTube視聴
- 室内用のおもちゃ
- カードゲーム・プラモデル
もちろん、これらも創造力や集中力を高めたり、コミュニケーションの道具になったりする利点があります。
ですが、身体を大きく動かす機会は圧倒的に少ないのが現実。
姿勢を崩したまま長時間同じ姿勢で過ごすと、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 猫背・反り腰などの姿勢不良
- バランスや体幹筋力の弱さ
- 落ち着きがない、集中が続かない
- 外部刺激に敏感になりやすい
特に就学前〜小学校低学年は「感覚統合」が発達する大切な時期。
この時期に遊びを通じた体験が不足すると、運動や学習に影響が出るケースもあります。
昔の遊びが育てていた“見えない力”
昔の遊びでは、ただ走り回っているように見えて、以下のような力が自然と育まれていました。
1. 自己調整力(ボディイメージ・運動の制御)
→ 木登りや鬼ごっこでは、自分の体がどこにあってどう動くかを感じる必要があります。
2. 判断力と社会性
→ ルールを守ったり、とっさに行動を選んだりする経験を通じて、社会性や意思決定力が育ちます。
3. 感情のコントロール
→ 勝ち負け、うまくいかない悔しさ、人とのやり取りの中で感情を調整する力がつきます。
現代の遊びに不足しがちな“動きの質”
たとえば、ゲームでは指先は使いますが、姿勢を支える体幹やバランス能力は使われにくいです。
また、受動的な映像視聴が多いと、「見る→動く」の連携が育ちづらくなります。
▼現代の遊びで不足しやすいポイント
- バランス感覚(前庭覚の発達)
- 筋力・持久力
- 協調運動(手と足、左右の連携)
- 粗大運動(大きな筋肉を使う動き)
遊びの中で“運動”と“感覚”を育てる工夫
現代の遊びにも良さはあります。
大事なのは、バランスよく取り入れることと、日常の中に「身体を動かす遊び」を意識的に増やすことです。
▼家庭でできる昔遊びのアレンジ
- 家の中で「新聞ジャンプ」:丸めた新聞を両足でジャンプして越える
- 布団で「でこぼこトンネル」:上を這って進む
- 公園で「ミニ鬼ごっこ」:ルールを簡単にして遊ぶ
- 段ボールバランスゲーム:段ボールの上に立って落ちないようにする
小さな工夫で、「遊び=発達支援」に変わります。
理学療法士が見る“遊び”の大切さ
運動発達や感覚統合において、遊びは最も自然な“トレーニング”です。
特別な道具や場所がなくても、日常生活の中で取り組むことができます。
大切なのは、「ちゃんと遊べているか?」ではなく、
「どんな遊びが、子どもの発達を育んでいるのか」という視点です。
まとめ:デジタルと自然をうまく組み合わせよう
遊びのかたちは時代とともに変わりますが、
子どもにとって「身体を動かす体験」は、どんな時代にも必要な栄養です。
・昔の遊びには、運動・感覚・社会性の発達を促す要素がたくさん
・現代の遊びは便利だけど、身体活動が減りやすい
・日常の中で“遊び”を通じて感覚や運動の刺激をプラスしよう
子どもたちの発達のために、ちょっとだけ意識してみませんか?
今後も、理学療法士の視点から「子どもの成長をサポートするヒント」を発信していきます。
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